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“西武園ゆうえんち 夕日の丘商店街”で「対」になる物語を撮り歩く

2021年8月15日 坂東樹

“View Finder”を通して、テーマパークの新たな楽しみ方の”Style”を見つける、『Find My Style』。今回は、”西武園ゆうえんち 夕日の丘商店街”を、ハーフ判フィルムカメラで撮り歩きます。

プロローグ

この連載、少し間隔が空いてしまいました。なかなか機会もなく、取材を進める傍ら、自分なりの”Style”を見つけることがとても難しい期間でした。それでも、頭の中に2つ、やっておきたいことは浮かんでいました。一つはモノクロフィルムを使うこと。せっかくフィルムを扱うのなら、ある意味デジタルデータとは最も遠く、光と影に一番近い白黒写真をやってみたいと思っていました。そしてもう一つ。連載最初の記事に登場したハーフサイズカメラ。

現像に出す際に特に指定をしていなかったのでこの記事では一コマずつスキャンしたものを掲載しましたが、35ミリフィルムを半分に分けて2枚ずつ撮影するハーフ判の魅力の一つに、「常に組写真である」ということが挙げられます。そんな、二枚一組となった撮影から現像、スキャンまでのプロセスを体験したいと思っていたのです。そんなタイミングで舞い込んできた西武園リニューアルオープンの知らせ。

これだ!と思い、箱のつぶれたACROSをPEN EE-2に詰めて埼玉を目指したのでした。
…それから、72枚を撮り終え、現像に出し、帰ってくるまでかかった時間。それがこの連載の空きの理由であり、今日のテーマとなる「対」であることの重みでもあるのかもしれません。

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古いって、新しい

「古い」と「新しい」。不可逆で、一方通行な、一定方向に進んでいく概念であるようなイメージがあります。けれども、生まれ変わった西武園ゆうえんちを見ていると、必ずしもそれだけではないように感じてきました。もちろんそれは、このカメラと一緒だったからこそだとも思います。

1960年代をイメージした街並みが表現されている、リニューアルの目玉「夕日が丘商店街」。そこに広がるのは、きっと存在したんであろう古き良き日本の姿。とはいえ、私を含め訪れる多くのゲストにはそんな時代と接点がなく、ただイメージや知識の中でだけ存在していた世界です。ここで、「古さ」と「新しさ」は不可逆な一方通行の概念ではなく、「対」であり、一組のイメージとして動き始めます。手元にある1968年生まれのこのハーフ判フィルムカメラもそうです。使い慣れた方にはその不便なところも愛らしい、懐かしさある機械でしょう。けれどもデジタルカメラに囲まれて生まれ育った私に見えるのは、新鮮で、撮影者として研ぎ澄まされ、写真表現を問いかけてくる試練です。現像するまで、仕上がりはもちろん、どのコマとどのコマが一組なのかさえわからない中で、白と黒だけの世界。それでも「対」になる以上、一貫した物語を写し撮らなければ、写真として成立しません。こんなに新しい写真体験は、ほかのカメラではできないでしょう。まさに、「古い」からこそ「新しい」、夕日が丘商店街と、ハーフ判フィルムカメラという二つの体験が、「1960年代」というキーワードを通じて繋がったときでした。

夕日の丘商店街エリアでは、個性豊かな住人たちがそれぞれの日常を過ごしながら私たちを迎えてくれます。そんな瞬間を連続して捉えていると、彼らの生活をフォトエッセイで綴っているような、そんな気持ちになりました。少し陰った春の日に、ISO100のフィルム。目まぐるしく過ぎていく夕日の丘商店街の1日は写し止められたり、写し止められなかったりしますが、甘くブレた視界に、住人たちひとりひとりの個性が写っているようにも感じられます。

古さと新しさ。白と黒。生と動。縦と横。虚構と現実。様々な「対」をファインダーで感じながら撮り進めていきました。
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今回の”View Finder”

ハーフ判フィルムカメラ「OLYMPUS PEN  EE-2」固定焦点、F3.5〜16の絞り値と2段階のシャッタースピードをレンズ周りのセレン素子で測光し組み合わせて撮影する。電池いらずのプログラムAEという愛すべきロー?テクカメラ。今回はFUJIFILMのモノクロフィルム「ACROS」を使用。

エピローグ

今回は、”西武園ゆうえんち 夕日の丘商店街”の「対」になる物語をテーマにハーフ判で、撮り歩きました。対といえば、テーマパークという非日常が心ゆくまで楽しめるのも、私たちが日々過ごす日常が確かなものとしてそこにあってこそのこと。今、日々の情勢が日に日に緊張感を増していく中、1日でも早くテーマパーク、もっと広くエンターテイメントを心おきなく楽しめるそんな日が来るよう、自分は何ができるか一人一人が考えなければいけない時期にあると、この少し時間の経ったフィルムを見ていて強く感じました。さて、次はどんなStyleを探しに行きましょうか…。

※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。
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