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監督&イマジニアがDisney+「ディズニーパークの裏側」の裏側をトーク

2021年8月1日 あとなび

ディズニープラスのオリジナルドキュメンタリー「ディズニーパークの裏側 ~進化し続けるアトラクション~」(原題:Behind The Attraction)が2021年7月30日(金)よりディズニープラスで独占配信されています。

ディズニーパークのアトラクションが作られた背景を楽しく知れる番組です。

『ジャングル・クルーズ』で主演を務めるドウェイン・ジョンソンが制作総指揮として参加、各アトラクションの開発・企画に携わった関係者のコメントや当時の映像もふんだんに使われています。

監督兼エグゼクティブ・プロデューサーのブライアン・ヴォルク=ワイス氏、イマジニアのジャネット・ランボーイ氏、マーク・ラヴァイン氏、ヴァネッサ・ハント氏、 デイヴ・ダーラム氏が登壇した、2021年6月24日実施の記者会見の模様をお届けします。

司会は、D23インサイド・ディズニー・ポッドキャストのコ・ホストのジェフリー・エプスタイン氏。

イマジニアリング・ストーリーとの違い

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–––「イマジニアリング」(The Imagineering Story)は、ディズニープラスですごく人気があります。このシリーズは、どのように違うんですか?また、この番組のアイディアはどのように生まれたんですか?

監督:順番を変えて話すね。アイディアは、僕たちがドウェイン・ジョンソンの会社Seven Bucksのパートナーになって、ディズニープラスに売り込んだ番組の仕事をしている時に出てきたんだ。ディズニープラスはその番組が好きだった。いや、そうだな、それが大好きというわけじゃなかった。彼らが番組を買わない時、その番組が大好きじゃないということなんだ。でも、彼らは「あなたたちが売り込んだのと似た番組で、アトラクションについての番組にしたらどうかな?」と言った。僕は、「ライドについての番組を是非やりたいよ」と言ったんだ。そしたら彼らは、「その言葉(ライド)は絶対に使わないで。アトラクションなんです」と言い、僕は「僕の間違いです」と言った。基本的にそういう風にして作られることになったんだ。たくさんの素晴らしいノート(建設的な意見や感想)をもらった。僕はそれを必死で書き留めた。僕たちの開発チームが、まったく新しいデック(テレビ番組のプロポーザルのようなもの)をまとめた。毎日、この番組の仕事をしていて、大袈裟に言うわけじゃなく、1日に5回から1,000回、「この番組にゴーサインが出たのが信じられない」と自分に向かって言っていた。でも、ゴーサインが出たんだ。本当にゴーサインをもらえたんだよ。そういうふうにして、この番組が出来ることになったんだ。

2つの番組の主要な違いは…とても難しいよ。あの番組(「イマジニアリング」)はすごいと思う。Aプラスの番組だと思う。僕たちがやろうとしたことは、楽しいところに入り込もうとしたんだ。これらのアトラクションを作る歴史や手順から少し離れて、こういう楽しいものを目指したんだ。それらは、僕たちが今生きているポップカルチャーを築く手助けをしたものだったり、ディズニーが、これからもカルチャーの中でこれほど大きな声を持ち続けることが出来るようにするものの一部なんだ。僕たちはそういうことをしようとしたんだよ。

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–––あなたがアトラクションについて学んだもっとも興味深いことは何ですか?

監督:それに答えるのはとても難しいよ。デイヴ(・ダーラム)、あなたのストーリーをたくさん聞かされることになるよ。この番組にゴーサインをもらった時、僕は、ディズニーの修士号を持っていて、博士号を取ることになるんだと思っていた。僕は、5歳か6歳の頃からディズニーに夢中で、ディズニーについての本を山ほど読んだんだ。でも、とても素早く、僕はディズニーについて5年生か6年生の教育しかないことがわかった。それで、ディズニープラスは、とても寛大なことに、ディズニーがやっていることについて僕たちをトレーニングしてくれたんだ。それは一般向けにやっていることじゃないから、もちろん僕たちにはこれまでアクセス出来ないことだった。僕たちが初めてデイヴとミーティングした時、僕はたくさん質問をして、デイヴが答えてくれた。でも、デイヴは僕が聞いた質問から、彼の答えを僕がちゃんと理解出来ていないことがわかったんだ。それでデイヴは、「オッケー。『ファインディング・ニモ』のライドに乗ったことはある?」と聞いた。それで僕は「イエス。乗ったことがあるよ。大好きだ」と答えた。僕が当時3歳くらいしか理解していなかったことについて話すつもりはないよ。言うまでもなく、デイヴは「オッケー。こういうことだよ。あなたが舷窓を通して見たら、これらの美しい魚が見える。それはプロジェクターなんだ」と言った。僕はそのことは知っていた。「それは知っているよ、デイヴ。みんながそれを知っている。僕は、あのライドのアトラクションがオープンした日にそれについて読んだよ」と言った。そしたら彼は「あなたが知らないのはこういうことなんだ。あのアトラクションが建てられた時、彼らは、多分15年から20年間は建てられることがないかもしれない(将来の)アトラクションのために、そのエリア全体のケーブルやワイヤーや配管を動かしていたんだよ」と言ったんだ。その瞬間、僕は「わかった!オッケー。僕はこの番組をそういうふうに見ないといけないんだ。僕はパークをそういうふうに見ないといけないんだ」って感じだった。今でさえ、僕がまだディズニーについての修士号を持っていないのは確かだけど、それが、「オッケー。僕はまだ高校生だ。勉強し続けないといけないんだ」というふうに思った始まりだった。それは僕が、すべてのことをこれまでないほどもっと良く理解し始めた瞬間だったんだ。

イマジニアの自己紹介

第3話「スター・ツアーズ」

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–––イマジニアのみなさん、それぞれ自己紹介してください。また、これまでに手がけたアトラクションやプロジェクトを教えてください。

ジャネット・ランボーイ(以下JL):私は、アウラニやディズニーランド・リゾートにあるすべてを監督することを楽しんでいるわ。もちろん、もっとも最近、私たちは「アベンジャーズ・キャンパス」をオープンしたところよ。でも、たくさんのリストがある。アウラニは多分10年前から私のベイビーなの。もうすぐ10周年がやってくるわ。また、ディズニー・アニマルキングダムで「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」の仕事をしたり、さまざまなプロジェクトを手がけてきた。私は1995年に、ストーリーブック・ファンタジーランド・ガールとして仕事を始めたの。だから、ディズニーとは長い歴史がある。私は、子供の頃に聞いた多くのストーリーにインスパイアされて、イマジニアになりたかった少女だったの。だから、ここに来れて、そして番組に参加できてうれしいわ。

マーク・ラヴァイン(以下ML):僕はマーク・ラヴァインで、イマジニアリングのストーリー開発チームにいる。テレビ番組の脚本を書くというキャリアの後、イマジニアリンで仕事をしていて、ジャネットのように、クルーズシップから「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」まで、世界中で多くのプロジェクトの仕事をしてきたんだ。ジャネットと同じように、あのプロジェクト(パンドラ)の仕事を5年間やった。そして、ブライアンみたいな人々と、パークについてのストーリーや、彼らと一緒に出来ることを手がけてきた。ストーリー部門は、ディズニーでやるすべてのことに関わっている。だから、僕にはたくさんの仕事があるんだよ。

デイヴ・ダーラム(以下DD):僕はライド・スタジオで働いている。僕は主に、新しいアトラクションのためのブルースカイ、つまり初期段階のコンセプトを手がけているんだ。僕は、幸運なことに、クリエイティブ、プロダクション、R&D(研究開発)、ライツ(権利)・スタジオで仕事をしてきた。「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」や「スター・ツアーズ」から、たくさんのライドの仕事を楽しんできた。だから、すごくたくさん素晴らしい思い出があるよ。

ヴァネッサ・ハント(以下VH):私は、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのアートコレクション・チームにいるの。私たちは、世界中のプロジェクトのためにイマジニアリングが作ったすべてのアートワークを記録したり、手入れしたりする責任があるアーカイブなの。私はまた、ディズニー・パブリッシングのパートタイムの著者でもあるわ。

–––ディズニーで働いている時まだ存在していなかった、または他のプロジェクトの仕事をしていて、関わることができなかったアトラクションの仕事をもし出来たとしたら、どのアトラクションをやりたいですか?

JL:「イッツ・ア・スモールワールド」だわ。私が幼かった時、とても大好きだったことは、(「イッツ・ア・スモールワールド」のゴンドラに乗って)通り過ぎながら、「私はフィリピン人です」と言って、フィリピンの人形を見ることだったのを覚えている。「あなたは私に話しかけている」って感じだったの。そして、メアリー・ブレアは伝説の人で、私たちみんなが彼女を尊敬していたわ。私は、彼女の感性、色の感覚や、彼女がどのように女性であって、有力で強い存在であるかが大好きだった。だから、間違いなく「スモールワールド」だと言うわ。今でも、グラフィックや色を参照するために見るのよ。それはディズニーランドの最強の部分なの。だから、「イッツ・ア・スモールワールド」の仕事を是非したいわ。

VH:私もジャネットに完全に同意するわ。私も、同じことを言おうとしていたの。「イッツ・ア・スモールワールド」の仕事をしたメアリー・ブレアやローリー・クランプ、マーク・デイヴィスやすべての素晴らしいイマジニアたちと一緒に働く機会を持てるだけで、ためになる素晴らしい人生経験になったでしょうね。あれをクリエイトすることについて、彼らと話したい。今、私の背後にある彼女のアートワークについて、メアリーと話したいわ(笑)。

第5話「スペース・マウンテン」

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–––2人が「イッツ・ア・スモールワールド」でしたね。デイヴはどう思いますか?

DD:僕は、違う方向に行くよ。僕はフロリダの「スペースマウンテン」にする。オリジナルのスペースマウンテンだ。すごくアイコニックなかたちで、小さな2つの(トラックがある)ジェットコースターを、ビルの中に置いて、星やエフェクトを使ったショースペースとして使うのは本当にクールなアイディアだよ。それは、興味深いコースターをやるのにとても賢明なやり方だった。子供の時、ディズニー・ニュースマガジンを追いかけていて、スペースマウンテンが開発されるところの写真やアートワークを見ていて、オープンした後、実際そこに行って、それに乗る機会を得て、「いやあ。甲斐があった」と思った。それは、僕が思っていた通り素晴らしかった。それから、後になって、僕たちは違うスペースマウンテンをもっと作ったんだ。素晴らしかったよ。

ML:とても難しい質問だよ。なぜなら、「カリブの海賊」か「ホーンテッドマンション」のどちらかだからだ。僕は「ホーンテッドマンション」にするよ。クロード・コーツ、マーク・デイヴィス。ウォルトはアイディアを持っていたけど、それが完成するまで生きていなかった。それは、ストーリーテリングや、すごくたくさんのディテールに満ちていて、何度も何度も乗ることが出来るんだ。僕は今も乗っているよ。僕は多分50回は乗っているけど、毎回(新たな)ものを発見するんだ。だから、僕にとっては「ホーンテッドマンション」が間違いなくリストのトップじゃないといけない。

ドウェイン・ジョンソンの関わり

第1話「ジャングルクルーズ」

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–––この番組でドウェインと一緒に仕事をしたことについて少し話してもらえますか?彼はどういうふうに関わったんですか?

監督:とてもありふれた表現だけどね。彼が関わってくれたのは素晴らしかったよ。うまい表現を思いつけないけど。あなたは多分、いくつか具体的なことを知りたいだろうけどね。曖昧な言葉だけじゃなく。僕たちが、電話をかけて欲しいとか、ショートメッセージを送って欲しいとか、ミーティングとか、僕たちが彼にやってもらいたいことは何でもやってくれた。彼は、素早くいろんなことをやってくれた。彼の同僚が僕に何かをやってくれと頼むよりももっと素早くね。彼は、僕たちがこの番組を作っている間に、8,9本とか映画を作っていたと思う。それでも、彼はいつも僕たちのために手助けしてくれたんだ。他のことで、ドウェインが素晴らしかったことは…セレブと仕事をするのはとても可笑しいものだ。見ているものと、実際はこうだというものがある。(セレブのイメージを)台無しにしているわけじゃない。僕は、サンタクロースは存在しない、と言ってるわけじゃないよ。でも、そのギャップは普通中位からとても大きいものなんだ。ドウェインの場合、彼がテレビでやっているどんなことを見ていても、彼がインタビューされているのを見ていても、それがまさに彼なんだ(表裏がないということ)。そして、すべてのコンファレンスコールに、すべてのズームに、すべてのミーティングに、彼は情熱とエネルギーを持ち込む。僕たちが彼と一緒にやったことすべては、すべてハイエネルギーだった。僕たちは笑っていたよ。彼はまったく知られていない『スター・トレック/ヴォイジャー』のエピソードに出演したことがあるんだ。それで、初めて会った時に、彼にその話を持ち出した。そしたら、彼はその次に会った時にそれを覚えていて、その話をしたんだ。「僕は、子供の名前でさえ半分くらい覚えていないんだ。どうやって、僕が19ヶ月前に言ったことを覚えているんだ」って思ったよ。それが彼なんだ。そして、彼は、この記者会見に出ているどんな人とも同じようにディズニーを愛していると思う。彼は、(ディズニーを)理解しているし、夢中なんだ。彼は、ディズニーランドにずうっと行っている。彼と一緒に仕事をしたことが、素晴らしい、楽しい、すごい、って言うのは、控えめな表現だよ。

–––そうですね。ヴァネッサ、あなたは、ドウェインがイマジニアリング・アート・コレクションをツアーしている時、関わっていたんですね。どうでしたか?

VH:彼は、『ジャングル・クルーズ』の仕事をしている間に何度か私たちのところにやってきたの。彼は、本当に学びたかったのよ。アートワークを見て、「ジャングルクルーズ」に命を吹き込んだイマジニアたちのことを学びたかったの。それで、彼が見れるように、私たちはオリジナルのアートワークを取り出した。彼は、立って、それをじっと見て、熱心に観察していたわ。それから、私たちは、そのアートワークを作ったイマジニアについて話したの。彼は質問をしたし、そこにいることにとても興奮していたわ。彼の2度目の訪問の時、彼は私の同僚のマイクに、「また(アートワークが保管されている)ヴォルトに行けるの?」って言っていた。まるで小さな子供みたいに、そのことにものすごく興奮していたわ(笑)。

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「アトラクションは氷山みたいなものだ」

–––どのように番組で取り上げるアトラクションや題材を決めたんですか?

監督:僕たちは、大袈裟じゃなく、100以上のリストから始めたんだ。でも、マークは、少し少なくした方がいいよって感じだった(笑)。それでも30個のリストを提出したんだ。かなり初期にリストの数を早く少なくするために決めたことで良かったことは、今もう存在していないアトラクションについてのエピソードはやらない、ということだった。さもなければ、「ミッション・トウ・マーズ」について10エピソードをやることになっていただろうね。それは、とても強く却下された。だから、僕は少し気分を害された。でも、一旦僕たちがそれを決めてからやろうとしたことは、混ぜる、ということだった。もし「イッツ・ア・スモールワールド」のようにアイコニックなアトラクションを取り上げなかったら、人々は「一体何を言ってるの?『スモールワールド』をやらないなんてこと、どうして出来るの?」ってなる。でもまた、もしうまくいって続けば、シーズン8で取り上げられるようなエピソードもやろうとしたんだ。なぜそれをシーズン1でやるのか?それには、とても意図的な理由があったんだ。なぜなら、たくさんのアトラクションがあるからだよ。ところで、僕が何を学んだかというもう一つの質問に戻ると、僕はいつも、この番組を作ったことから学んだことは、「アトラクションは氷山みたいなものだ」ということだよ。どういう意味かというと、一般の人々は、多分アトラクションの2%くらいしか見ていないんだ。もし人々が、これらのアトラクションがうまく動くようにしている、彼らが見れないインフラのことを知ったら、彼らはすごく驚くだろう。そういうことを取り上げようとすることは、僕たちがやろうとした大きな部分だった。たとえば、「Trains, Trams and Monorails」というエピソードがある。シーズン1で取り上げるのは当然だというものじゃないかもしれない。でも、もし人々がそれを見たら、「オーマイゴッド。まったく知らなかったよ!」と思ってくれるといいなと思う。彼らが初めて、そして6ヶ月、12ヶ月ごとにディズニーパークに行く度に、彼らの大好きなアトラクションに全速力で走っていくかわりに、ある人は両親に「モノレールに行きたい」と言うことになるだろう。そして、「なぜ、モノレールに行きたいの?」と聞かれると、「あの番組を見た?」ってなるんだ。だから、そういうものを混ぜることにしたんだよ。

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ウォルトから約70年間のつながりを見られる

第1話「ジャングルクルーズ」

–––多くの場合、イマジニアたちは、こういう番組で舞台裏にいます。でも、今回は、カメラの前に出てきました。それはどういう経験だったか、また厳重に保管されていることを分かち合うのはどうだったか、話してもらえますか?

JL:私から始めるわ。ブライアンが話していたことは本当よ。私たちは、不可能なこと、楽しいこと、マジカルなことをやるという任務を与えられたの。もし私たちがこれらのストーリーに命を吹き込もうとしたとしたら、ゲストがこれまで聞いたことがないそういうストーリーが、間違いなくたくさんある。彼らは最終的な結果しか見たことがないのよ。だから、それについて話したり、「なぜこういうふうにやったの?」とか「それはどういうことを意味しているの?」とか「それは大変でしたか?」「それは楽しかったですか?」とか、普通は訊かれないことを質問されたりして、これらのものを作り出すために私たちが一緒に経験したことを理解しようとするのは、素晴らしかったわ。そして、そのプロセスで、私は多くのことを学んだと思う。私は、「ジャングルクルーズ」が最初はどんな感じだったのか、またウォルトが「ジャングルクルーズ」にどういうものを求めていたのか、ということを質問されたわ。それは本物のアドベンチャーで、実際、アニマルキングダムの元になったのよ。真実は、アニマルキングダムは、ウォルトが持っていた「ジャングルクルーズ」のビジョンが結実したものなの。彼は、ゲストを動物がたくさんいるアフリカに連れて行きたかったの。それは、私たちが何年も何十年も後になってやったことよ。だから、その繋がりはとても強いけど、そのことについて私たちは十分に話していない。私たちはただ、私たちのゲストに、最終的なプロダクトがどういうふうに見えるものかを見せているだけなの。だから、そういうことについて話せるのはとても楽しかったし、私たちがまだ分かち合っていない他のストーリーが山ほどあるのよ。

ML:この番組の仕事をして、ブライアンとチームと一緒に働き、すべてがまとまり、これらのエピソード全部を見ていて、とても興味深かったことは、全体を貫いていることは、すべてがウォルトの時まで遡ることだよ。これまでやったことがないことをやり、さらにその先まで行こうとする意欲なんだ。それを大きなチームでやるんだよ。今日、イマジニアである僕たちは、この仕事を最初に始めたイマジニアたちと直接つながっているんだ。それを番組で見れるよ。それは本当に素晴らしいつながりなんだ。こういう仕事をしている人々との約70年間のつながりを見れる。僕にとって、それはエキサイティングな部分だし、もちろん、今もそうだよ。イマジニアリングや、パークのクリエイションに関わったみんながやったことのつながりを見れるのはエキサイティングだよ。

DD:僕たちのすべてのアトラクションには、すごくたくさん舞台裏のストーリーがあるけど、それらを語れることはなかった。僕たちみんながゲストとしてパークにいて、列に並んでいると、他のゲストが、なんとかかんとか(そのアトラクションについて)話していて、僕は「おお、ノー。まったくわかってない」と思ったけど、黙っていよう、黙っていようって思ったんだ。これは、僕たちが黙っていなくてもいいチャンスだった。視聴者たちと、これらクールな裏話や歴史、いくつかのチャレンジや、たくさんの楽しさを分かち合うことが出来るんだ。こういうものを作るのは本当に楽しいよ。たくさんの仕事だけどね。すごい仕事量だ(笑)。でも、すごく楽しい。普通はこういうストーリーは他の人と分かち合うことは出来ない。だから、氷山の一角しか見れない。でも今は、数フィート海底に行って、もっと見ることが出来るんだよ。

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イマジニアとしての喜びの瞬間

スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ(第3話「スター・ツアーズ」)

–––あなたが作るのに関わったアトラクションに乗ったゲストから聞いて、感動したり、驚いたことはありますか?

JL:私が仕事をした初めてのアトラクションは、この番組には入っていないの。でも、それは規模やスケールに関してとても取るに足らないものだった。それはエプコットのミレニアム・ヴィレッジだったの。そこを歩いていて、なぜ私はこの仕事をやっているのかわかったのよ。私たちは、大きなアトラクションを作っているだけじゃないの。リラックスするスペースや、小さなアトラクションも作る。ディズニーのゲストがパークで経験できるいろんなものがあるわ。私が、そういうスペースに入って行って、おばあさんとお母さん、娘さんという3世代の女性を見たのを覚えている。彼女たちは、私が理解できない言葉を話していたの。私はその瞬間、彼女たちは楽しんでいるということに気づいたの。私たちがすべての苦痛や不安を経験しながら、一生懸命ゲストに届けたものを、彼女たちは理解出来たの。たとえ私たちが同じ言語を話さなくても、同じ国の出身でなくても、違う視点を持っていてもね。それだけじゃなくて、ミレニアムは今もあって、意味のあるかたちで人々の心を動かし続けているの。それは私を驚かせたわ。間違いなくつらいこともたくさんあるけど、私たちが作るものに入れ込むそういった愛や情熱はゲストの経験にとても影響を与えるの。私が決して理解出来ないかたちで。そして、私たちは、いつも世界に話しかけることができる。今でさえ。それには驚かされるわ。また同時に、これだけ長い年月が経った後、私たちが何か(新しいアトラクションを)オープンするたびに、同じように感じられることに驚いているわ。

DD:たくさんあるよ。イマジニアとして、文字通りもっともクールなことは、僕たちがオープンした新しいアトラクションの出口のそばに立つことができることだ。何年もチームと一緒に働いて、すごく長い間、たくさんのミーティングをし、すごくたくさんいろんなことを決めてきたんだ。そしてその間ずっと、それが最終的にこういうものになればいいなというビジョンがある。そして、すべてが終わった時、ゲストはライドから降りながら話すんだ。そしてそれを聞くんだよ。彼らはそれが気に入ったか?彼らはハッピーか?それは期待に沿うものだったか?僕が見ているのは、彼らがまたぐるっと戻って、列にまた並ぶか、ということだ。言葉を言う必要はないんだ。彼らの行動が語っている。そして僕は、リラックスして微笑んで去るんだ。それはやるだけの価値があったとね。いつも聞くことだけじゃないんだ。見ることなんだよ。

監督:ちょっと話させてもらえるかな。なぜなら、僕は、イマジニアじゃない唯一の人間だからだよ。人々がアトラクションから降りた時に、褒めるよりももっと良いことがある。「スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス」から降りた時、僕もそうだった。言葉を失ったんだ。文字通り、僕たち6人はただまばたきしていた。6人のうち5人は大人だった。ただまばたきしていた。15秒くらい、誰も何も言わなかった。それより良い褒め言葉を知らないよ。

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–––ヴァネッサ、ウォルト・ディズニー・アーカイブやD23とよく仕事をしていますが、あなたが長年リサーチしてきたことで、この番組の仕事をしている時に学んだことはありますか?

VH:私は、主にインタビューされただけなの。私の他のチーム・メンバーが、番組の仕事をして、リクエストされたことに応えていたのよ。でも、番組を見て、私の仲間のイマジニアたちから直接これらのアトラクションについての話を聞くのはとても素敵なことだったわ。多分、それらの話を以前断片的に聞いたり、読んだりしたことがあったけど、彼ら自身から直接聞くのは、私にとってとても素敵な経験だったわ。

–––パークを訪れるのは、すべて直接の経験です。実際に触れたり、ビジュアルでインターラクティブな経験です。このドキュメンタリーを作っている時、そういうものをストーリーを通してどのように伝えようとしたんですか?

監督:これは僕の「秘伝のソース」みたいなものなんだけど、僕がいつもやろうとすることは、とても小さく、狭く、細部にこだわって始めることなんだ。意図的に、それを30秒から60秒間だけ見るかのように。ポーズボタンを押して、「間違った番組のプレーボタンを押してしまったのかな」と思うかのようにね。でも、それはとても熟考されたことなんだ。デイヴが言っていたことに似ている。実際必要とされる30年も前に、パイプやワイヤーが設置されるという話をするんだ。視聴者に「僕たちを信頼して。これは重要なんです」と言うかのように。そして、エピソードの残りの時間、そのオリジナル・ストーリーの意味合いに、ここで少し背景を足し、あそこで少し背景を足していく。そして、もし僕たちが、エピソードの最後までにすべてのバランスをうまくとって、ちゃんとした仕事をしていたら、そのエピソードをもう一度見直すまで、そういうことが起きていることに気づきさえしないはずだ。でも、基本的に、僕たちが子供の頃にやることみたいなんだ。点をつないでいくことから始める。たくさん点があって、全部をつないでいったら、「ああ。それはドラゴンだ」ってなる。そういうことを僕たちはやろうとしているんだよ。小さく始めて、点をつないで行く。そしてエピソードの最後までに「ああ、わかったぞ」ってなるわけだよ。理論上はね。そして、僕たちはちゃんと出来たんだ。そう願いたい。パークに行って、ビルを見たら、『マトリックス』のネオみたいに、「なぜ僕はこういうことすべてを知っているんだ?」と思う。「ああそうだ。『ディズニーパークの裏側』を見たんだ」ってなるように。僕たちはそういうことをしようとしているんだよ。

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アトラクション開発ストーリー

第2話「ホーンテッドマンション」

–––新しいアトラクションを開発する時、どういうところから始めるんですか?新しいアトラクションのためにあなたたちが応用することが出来た、ディズニー以外のところで開発された技術について話してもらえますか?

ML:どのようにアトラクションを作り始めるか。たくさんのやり方がある。もちろん、僕の見方は偏っている。僕の肩書きに「ストーリー」があるからね。でも、ストーリーテリングがすべてなんだ。僕たちがどのように世界に命を吹き込むか、ということなんだ。僕たちが「パンドラ(ザ・ワールド・オブ・アバター)」でやったように、その世界にどうやって入っていけばいいかを見つけないといけない、映画からきた世界だったりする。(「パンドラ」の)チームにいたジャネットや僕は、そういう世界をどのように経験するのかを考えないといけなかった。また、「ホーンテッドマンション」や「カリブの海賊」に遡り、僕たち自身で作り上げたストーリーのこともあった。だから、ストーリーテリングから始まると思う。もちろん、僕たちのストーリーテリングは違う。みなさんをゲストとして、そのストーリーの真ん中に入れるんだ。ゲストはストーリーの主人公なんだよ。たとえ好きなキャラクターたちを見るとしても。だから、僕たちはそういうふうにしてよく始める。それは、アトラクションにストーリーから取り組むということだ。他のやり方で始めることも出来る。それは、テクノロジーだったりする。多分、デイヴがそのことについて話すべきだね。

DD:テクノロジーはいつも大ごとだ。しばしばマークや彼のチームが素晴らしいストーリーを思いついても、僕たちはそのストーリーを語るためにどんなテクノロジーがあるかはっきりわからなかったりする。そして、僕たちは時々そのテクノロジーを発明しないといけない。僕たちには素晴らしいR&D(研究開発)グループと、数多くのテクニカル分野に素晴らしいブルースカイ(初期段階を手がける)・イマジニアたちがいる。そして、時々すでに興味深い分野でいくつかの仕事を手がけた外部の人とパートナーになったりする。また、まったく別のグループであるディズニー・リサーチもある。テクノロジーは重要だ。でも、もし僕たちが物事を正しくやれば、テクノロジーは、ただストーリーを語る手助けをするためだけにあるんだ。(ゲストは)テクノロジーについて考えるわけじゃない。しばしば開発され、特許があり、世界で誰も持っていないというテクノロジーについて考えるわけじゃない。ただストーリーに魅了されるんだ。それが、僕たちが望んでいることだよ。僕たちは、みなさんが訪れて素晴らしい経験をし、思い出を分かち合えるところを作っているんだ。僕みたいにちょっと技術オタクは、それがどういう仕組みになっているのかを考えようとして、4回とか5回とか乗ったりする。でも、それがあまりに良く出来ていて、ストーリーとあまりにうまく組み合わされているので、どのように機能しているのかを考えるために、4回とか5回とか乗らないといけないんだ。

第4話「トワイライトゾーン タワー・オブ・テラー」

JL:ここに今座って話していて、ある例を思ったの。私が大好きなものの一つは、「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー」なの。私たちは、とても大きなエレベーターの製造会社に行ったの。エレベーターのテクノロジーはとても長い間存在しているわ。それで、私たちは「あなたたちのテクノロジーで、これまでやったことがないことをやりたい」と言ったの。そしたら彼らは、基本的に「それは出来ますよ」と言ったわ。でも、それは、私たちが普通エレベーターでやることとは反対のことなの。私たちは時々、アトラクションに命を吹き込むために、すでにあるテクノロジーを違う風に使うの。「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー」は、今はディズニー・カリフォリニア・アドベンチャーの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト!」になっている。あれは、私たちが既成概念にとらわれずに物事を考えるという完璧な一例だわ。

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–––ブライアン、この番組の会話的なスタイルについて話してもらえますか?とてもペースが速く、気が利いたトーンで、多くのディズニー作品よりもう少し自虐的です。どのようにそういうトーンが選ばれたのか、またそれをさまざまなライド(のストーリー)にどのように取り込むことが出来たのかについて話してください。

監督:僕の個人的なバックグラウンドはコメディなんだ。僕のキャリアの前半は、99%コメディなんだ。キャリアがそういうふうに始まると、知っている人々を雇うものなんだ。僕たちは、純粋なコメディから少し離れ始めたけど、長い間一緒に仕事をして信頼しているエディターやショーランナー、ストーリー・エディターたちと今も一緒に働いている。2つ目の質問に答えると、ディズニープラスが僕たちのスタイルを選んだんだ。なぜなら、彼らは僕たちのスタイルを知っているからだよ。僕たちは、こういうふうにコメディ的だけど、情報もたくさんある他の番組をやったんだ。正直に言うと、こういうことなんだ。僕たちは、7年とか8年売ろうとしてきた「ボクらを作ったオモチャたち」という番組を約5年前にやった。僕は、ドキュメンタリーの大ファンなんだ。大学の頃に遡ってね。その頃は、もしドキュメンタリーを見たかったら、映画館に行かないといけなかった。僕がいつも問題があったのは、楽しくてハッピーで、軽い題材を扱ったドキュメンタリーでも、それらをまるでローマ帝国の盛衰のように扱っていることだった。僕はそれを決して理解できなかった。だから、僕たちが、楽しいトピックスだと考えることについての番組を作る機会をもらい始めた時、「ローマ帝国の盛衰みたいにこれを扱わないぞ」と言ったんだ。おもちゃについての番組を作っているんだ。そして今は、遊園地のアトラクションについての番組を作っている。なぜ楽しいものじゃないわけ?それから、自虐的なことについては、正直に言って、それは僕が好きなスタイルで、僕が信頼しているスタイルなんだ。それは、僕がニューヨークで育ったからかもしれない。わからないけど。人々や番組などが、あまりに自分たちのことをシリアスに取る時、もし彼らがただ正直に「聞いてよ。僕たちは神じゃない」と言えば払ってもらえるはずの敬意を払ってもらえないように思う。僕たちは完璧な遊園地をまだ作っていない。でも、僕たちは永遠に遊園地を変えた。ウォルト・ディズニーがアナハイムに(ディズニーランドを)作る前、遊園地がどういうものだったかを見たら、違いは歴然としている。でも、これは人間によって作られたものについての番組で、人間によって見られるんだ。どうして自虐的にならずにいられる?もちろん、そうでないこともありうる。そうする必要はない。でも、僕たちはそうすることを選んだんだよ。

今後取り上げたいアトラクション

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–––最後の質問です。もしシーズン2があれば、取り上げられる可能性があるアトラクションを挙げてください。

ML:「アバター・フライト・オブ・パッセージ」だよ。僕は見方が偏ってるんだ。

VH:私は、東京ディズニーシーの「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」よ。

DD:僕は、アニマル・キングダムの「キリマンジャロ・サファリ」がいいな。

JL:私はクラシックなものにするわ。私のもっとも好きなアトラクションはディズニーランドの「カリブの海賊」なの。でも、それは違うふうに表現されているわ。もっとも最近に作られた上海の「パイレーツ・オブ・カリビアン(バトル・フォー・サンケン・トレジャー)」は、テクノロジー的に素晴らしい傑作で、世界でもっとも素晴らしいライドの一つだわ。だから、それが取り上げられるところを是非見たいの。それは、ショートリストに載っていて削除されたものだと思うわ。ブライアン、シーズン2ね。

監督:エピソード11だね。

監督:「ミッション・トウ・マーズ」を戻せないかな?それは今もだめ?じゃあ簡単だよ。「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」だ。「スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス」がついに僅差で勝ったかもしれないけど、あのアトラクションにはまだ少ししか乗っていない。僕は、パークに一度行って、僕がやったすべてのパーク・ホッパーで1日中やったのは、「インディ・ジョーンズ」なんだ。(アトラクションに乗っている時)次にやってくるのが何かすべてを知っているけど、それでもいつも驚かされるんだ。いつも、前に見たことがないものを見つけるんだよ。だから、それが本当のエピソード11だ。気を悪くしないでね。

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※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。
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