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地方パークとVTuber 異色コラボが見る未来 志摩スペイン村×周央サンゴの経緯と展望

2023年2月11日 あとなび

志摩スペイン村パルケエスパーニャは、周央サンゴとのコラボイベント「みなさま~(広報大使)志摩スペインゴ村へ、来て!」を、2023年2月11日(土・祝)~4月2日(日)の期間、開催しています。

突然「ネットで話題のテーマパーク」に

日本のテーマパークでアニメやゲームとのコラボイベントが行われるようになってから久しく、すっかり定番コンテンツになっています。一方でVTuberとのコラボはほとんど耳にすることがありません。そんな中、志摩スペイン村が冬季休園明けから春休みへの期間をVTuberコラボに充て、グッズ販売程度ではない大型コラボの規模で展開しています。

異色ながらやたら気合いの入ったコラボが実現するまでには一体何があったのでしょうか。

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バーチャルライバー「周央サンゴ」とは

コラボイベントの主役、周央サンゴさん(通称ンゴちゃん)は、にじさんじ所属のバーチャルライバー。2020年8月にデビューした5人組ユニット「世怜音女学院演劇同好会」のメンバーです。YouTube上でのVTuberとしての配信などで活動しており、Twitterのフォロワーは約34万人、YouTubeの登録者数は約43万人います。

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突如トレンド1位に

事の発端は2021年12月。周央さんが、定期的な配信番組「おつかれさんご第50回」にて、志摩スペイン村を訪れたエピソードを熱く語りました。これに志摩スペイン村の公式Twitterが反応し、両者の交流が始まりました。

半年後の2022年5月、「おつかれさんご第62回」にて、再び志摩スペイン村について熱く語りました。この語り部分をダイジェストにしたファンによる切り抜き動画が話題となり、Twitterで「志摩スペイン村」「周央サンゴ」が突如トレンド入りしました。

これまで公式Twitterとの交流だったものが、トレンド入りで状況が一変します。そのきっかけは、志摩スペイン村の影山社長(村長)でした。社長は、トレンド入りした日のエピソードを披露してくれました。

社長、トレンド入りに気付き「VTuberとは何か」から検索

社長は、夜中の2時〜3時頃、トイレに目が覚め、スマホを見たところ、志摩スペイン村がトレンド1位になっていたそう。

びっくりするも状況がわからず、管理職のグループLINEに尋ねるも、深夜なので返信がありません。結局、社長が自ら一生懸命に調べました。「VTuberとは何か」から、周央サンゴが人の名前かも分からないような状態から調べていったそうです。

悶々とし数時間、6時半頃にようやく管理職LINEに既読が1つ付き、教えてくれるかなと待っていたものの…たぶんその管理職の人も調べていたのでしょう。と、当時を振り返り、その後も周央さんのおかげで何度もトレンド入りし、正式に広報大使に就任してもらうことになったそうです。

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フォロワー5倍・チュロス売上7倍

こうして一晩にしていきなり「ネットで話題のテーマパーク」となった志摩スペイン村。

効果は絶大で、志摩スペイン村の公式Twitterのフォロワー数は1.2万人から3週間で5万人を突破。現在は6万人を超え、当初から5倍になりました。

これまであまりいなかった20〜30代の男性グループが多く来園するなど新たな顧客層が生まれ、周央さんが「世界一美味いチュロス」と評価したチュロスは売り上げが7倍以上に増加したそうです。

周央さんファンにも受け入れられた関係性

その後も公式Twitterでやり取りをしながら、お互いの距離を縮めていきました。そしてトレンド入りした3ヶ月後の8月、志摩スペイン村が周央さんを招待し、コラボ動画を制作。

周央さんのYouTubeチャンネルで配信し、再度トレンド入りし、再生回数が114万回を記録しました(2月10日時点)。この動画は現在、近鉄の一部駅でも放映されています。

制作した志摩スペイン村としても、これほど大きな反響があるとは想像もしていなかったとのこと。

その後も周央さんは時折志摩スペイン村について語り、周央さんと志摩スペイン村の関係性は、周央さんのファンにも微笑ましく受け入れられていきます。「ここまで来たならもう少し次の展開をしたらどうか」という声も多く寄せられるようになったそうです。

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イベント発表で3度目のトレンド1位

そして秋から周央さんが所属する「にじさんじ」を運営するANYCOLOR株式会社とも協議を重ね、機が熟したこのタイミングで本格的なコラボ企画をすることになりました。

コラボは2022年12月27日に発表。この発表も話題となり、3度目のトレンド1位を記録しました。

リアルなパークとバーチャルなライバーの異色コラボ

こうして最初のトレンド入りから半年強で開催されることになったコラボイベント。配信をきっかけに志摩スペイン村への興味を持ったファンが訪れる機会を第一に考えているのはもちろん、実験的なイベントでもあるといいます。

それは、リアルなアミューズメント施設である志摩スペイン村と、バーチャルに活動する周央さんというコンテンツが、どのように連動すると効果的なコラボレーションができるかという実験。

志摩スペイン村が30年近く大切にしてきたキャラクターやアトラクションとバッティングさせることなく価値を上げられるような取り組みを検討し、スタンプラリーやアトラクション副音声といったコラボイベントの形になったそうです。

周央さん自身が、志摩スペイン村の世界観を大切にし、ファンに志摩スペイン村を訪れて魅力を知ってほしいという姿勢でいることも大きく、まさに広報大使(バーチャルアンバサダー)の役割を担っています。そこに「周央サンゴゆかりの地」をめぐるラリーや、志摩スペイン村ならではのコスチュームを着た等身大パネル、志摩スペイン村クオリティのコラボフードなどが加わりました。

内覧会では、周央さんやVTuberについてよく知らない関係者や報道陣が多く訪れていましたが、コラボイベントを体験しても、志摩スペイン村らしさを損なうことなく、初めて見た周央サンゴグッズを購入していました。こうした風景からも、コラボの成果が伝わってきます。

お互いに愛と敬意を持ちながら、やれることを全力でやる姿勢。世界観の強いテーマパークと、バーチャルな存在が、こうして融合していきました。

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地方パーク×バーチャルが生む未来

例年、志摩スペイン村は、1月に冬季休園し、2月上旬に新年度の営業をスタートします。パルケエスパーニャでは、そのタイミングでアトラクションやショーなどの新コンテンツを投入するのが通例です。2023年も新ストリートショーや新フラメンコショーがスタートしていますが、これは2022年にコロナ禍の入国制限でスペイン人ダンサーが入国できずショーを大幅に削減していた経緯もあります。一方で、今年は春休みに向けての子供をターゲットにした新規アトラクションなどは展開しません。

そんな中で「この春一番のイベント」として周央さんとのコラボイベントを実施します。

バーチャルとの出会いでマーケティングを見直し

周央さんコラボでは、バーチャル上で人気の周央さんの力により、インターネットやSNSは簡単に物理的な距離を飛び越えられるという、新たなマーケティングに見直したそう。

これまで志摩近辺の東海・関西地区が中心だったマーケティングを大幅に見直し、全国に、特に首都圏に志摩スペイン村の存在をアピールできる良い機会と捉え、マーケティングのエリア拡大を図ります。

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東京でも街頭ビジョンで宣伝予定

Twitterなど従来のSNSでの発信に加えて、ネット広告も積極的に行なっていきます。そして今後は、大阪、名古屋、そして東京で、屋外大型ビジョンを用い、宣伝を行う予定です。

近鉄コラボ&弾丸ツアーも

さらに、周央さんは志摩スペイン村の親会社である近鉄ともコラボを実施。三重県に留まらず各地の近鉄の駅でも周央さんコラボのポスターや動画を展開し、リアルな土地での宣伝を通じてSNSをも盛り上げています。

東京からのファンに向けては、バスを使えば少しでも交通の便が良くなるのではと、近鉄グループの三重交通の協力で、東京〜志摩の往復夜行高速バスによる、弾丸バスツアーを期間中に連日企画。イベント開始前の時点で想定を超える予約が入っているそうです。

 

私鉄の沿線住民の来園と鉄道乗車を狙い誕生した地方パーク。バーチャルな人気者との出会いにより、物理的な距離の壁を越えようとしています。

※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。
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