「遊園地と音楽の話」

2020年8月31日 いぬ

「遊園地と音楽」ときいたとき、まず何を思い浮かべますか。人それぞれ違った解釈があると思うのですが、一般的にはきっと、大きく以下の2つに分類されると思うのです。

(1つめ)『遊園地で流れる音楽』 これは、パークオリジナルのBGMや、アトラクションのテーマソング、ショーのために書き下ろされた音楽のことです。ディズニーなどの大手テーマパークだと音源が売られていたりするので、それを聴いて、熱心に裏にこめられた意図を汲み取ろうとがんばる人もいれば、シンプルに、聴けば「行った気分」になれるしワクワクするから大好き!という人もいます。わかりやすく楽しみ方も様々で、「音楽と遊園地」といえば、まずはこういった「園内で流れている音楽」のことを思い浮かべるのではないでしょうか。  

(2つめ) 『遊園地を舞台にした音楽』  aikoの「遊園地」、山下達郎の「メリー・ゴー・ゴーラウンド」といった、主にタイトルや歌詞に遊園地が出てくる音楽のことです。遊園地そのものを歌った曲も稀にありますが、どちらかといえば恋愛、出会いや別れなど、人間ドラマを語るうえでの舞台装置として登場するパターンが殆どでしょう。ところで、(1つめ)で紹介したような『遊園地で流れる音楽』が好きな人は多いですが、『遊園地を舞台にした音楽』のファンはあまり見ませんね。そもそも、ニッチすぎるジャンルだとは思っていますが(笑) さて、実は「遊園地と音楽」というテーマには、上の2つとはちょっと毛色の違う、もう一つ別の切り口があると思うのです。

(3つめ)『遊園地を感じる音楽』 これは、いったいなんでしょうか。例をあげるなら、80年代のシティポップを聴くと、なぜか東北のローカルパークを思い出すとか、遊園地そのものと直接的な繋がりはないのだけれど、「思い出」や「感性」がそうさせてしまう、といった類のものです。誰かが聞いてあげなければ語られることのない、ほんとうに個人的なもの。作曲者は「ミスリードしないでくれ」と怒ってしまうかもしれませんが、私は、意図的に表現されたものより、こういった聴き手ひとりひとりが「勝手に」作り上げた解釈、世界観が大好きなのです。 ところで、むかし、気になっている人に、自作のミックステープや、CD(またはMD)を作って、(殆ど無理やり)渡した経験はありませんか。自己満足で、残念ながら、たいていの場合は真面目に聴いてはもらえないのですが、それは「自分が見ている景色を誰かと共有したい」という、幼いけれど、なかなか感動的な欲求の現れだったと思うのです。たとえもし、いま、あなたの押入れにしまい込んである、だれか特別だった人のために作ったミックステープを、二度と再生したくなかったとしても。

この連載では、私にとっての『遊園地を感じる音楽』について書いていきます。これはまさに、あの一方通行な、誰かのために作るミックステープと同じ衝動から来ているものです。読んだからと言って別にあしたから使える知識になるわけでもないですが、ちょっとでも「あ、わかる」とか、「こんな捉え方あるんだ」とか、何かを感じとってもらえたとしたら、私はもう、それで最高です。