2020年7月17日、川崎駅前の商業施設「川崎ルフロン」9階・10階にオープンした「カワスイ 川崎水族館」。
その魅力と展望について迫ります。
ターミナル駅徒歩1分、アクセス抜群の都市型水族館
カワスイがオープンしたのは、JR川崎駅東口徒歩1分の商業施設「川崎ルフロン」内。
近年人気を博している都市型の水族館の中でも、抜群のアクセスを誇ります。
そんな都市型水族館らしい新しい試みとして、入場は2部制となっています。
午前10時〜午後5時の昼の部、午後6時から午後10時の夜の部と完全入れ替えが行われます。
年間パスポートを含め、それぞれの部の単独チケットおよび通しチケットを購入することができ、生活スタイルに合わせた楽しみ方が可能になっています。
地元、そして世界の淡水流域を再現した各エリア
カワスイでは、「多摩川ゾーン」「オセアニア・アジアゾーン」「アフリカゾーン」「南アメリカゾーン」「パノラマスクリーンゾ—ン」「アマゾンゾーン」の6つのゾーンに、69個の水槽を使用、約230種の生き物を展示しています。
地域ごとの大ゾーンの中に細かくテーマが設けられた水槽もあり、エリアごとに変わってゆく生き物たちの生態を楽しむことができます。
「パノラマスクリーンゾーン」では絶滅危惧種であり、生息地から離れた日本で生体の飼育が困難であるアマゾンカワイルカと、まるで大水槽のようなスクリーン上でコミュニケーションが楽しめます。
魚類だけでなく、齧歯類であるカピバラや鳥類の展示が予定されるほか、植物も現地の環境に合わせたものが植えられた「アマゾンゾーン」。
最先端技術×環境演出で、没入感のある展示を実現
カワスイの水槽には、どこを見ても水槽内の生き物を案内する表示は見当たりません。
しかし、近くに設けられたディスプレイで稼働する「次世代AI展示システムLINNÉ LENS Screen」により、水中のリアルタイム映像をAIが認識し、生き物の種名や解説を自動で表示しています。
この「LINNÉ LENS」はスマートフォンアプリも用意され、手元で生き物について詳しく知りながら館内を回ることもできます。
ほかにも、水槽そばのQRコードのプレートを読み取ることで、どんな生き物がいる水槽なのかチェックするといった方法も用意されていました。
最先端技術により、必要な情報を選びながら鑑賞することで、より高い没入感というエンターテイメント性と、都市型水族館として新しい形の環境教育の形を同時に実現したカワスイの展示形態。
水槽周辺をディスプレイで取り囲み、照明効果も駆使して表現された水槽も数多く存在。
それぞれ現地で収録された映像のリアリティも相まって、その種の生息する地域をより身近に感じられる、没入感のある展示を楽しむことができます。
環境演出については昼夜で変更され、まさに昼の顔と夜の顔、2つの姿が楽しめるような演出が施されているということです。
生態系の再現、昼と夜の表情とカワスイのこれから
昼夜2部制で演出の変更があるだけではなく、カワスイでは自然な生き物の姿を展示していくことも水族館としての使命と捉えています。
オセアニア・アジアゾーンに展示されているワライカワセミは昼行性で、夜になると木の上で休むばかりになってしまいます。
そこで同じケース内で、同地域に生息する夜行性の動物との入れ替えての展示を行うアイデアがスタッフから出され、実際に実現に向けて生き物たちを慣らしているような段階にあるということです。
動物たちが寝静まってしまう時間帯でも人間たちが入館していく都市型の施設ならではのアイデアと言えるでしょう。
また、アマゾンゾーンでの地域性に合わせた植物と生き物を組み合わせた展示についても、「照明や雨の効果といった環境演出と掛け合わせ、植物たちも育っていく過程を楽しめるそんな展示にしたい」というスタッフの言葉も取材中に耳にしました。
ここではまさに、自然な生態系が生まれていく姿を目の当たりにすることとなるのでしょう。
地球環境に配慮した取り組みも
現代の水族館として欠かせない、地球環境への配慮。
動物たちの自然な生態系を意識した展示といった面はもちろん、館内で提供されるサービスも環境への配慮がなされたものとなっています。
年間パスポートの電子化の推奨や、館内ショップではレジ袋は有料化されており、紙袋の用意もされています。
他にも、施設内で使用される紙パンフレットの回収ボックスが出口に用意されています。
館内にあるビュッフェレストランAOWでは、カワスイにて取り上げられている流域を擁する各国の料理がサステイナビリティを追求した食材を使い提供される、ということです。
※現在は感染症拡大防止のため、軽食メニューのオーダー制レストランとして営業中
近年人気を博している都市型水族館。
それぞれ違った魅力を打ち出している中新たにオープンした「カワスイ 川崎水族館」には、「見るだけ」「知るだけ」から一歩進んだ、生き物たちと「共に生きる」施設として、新たな水族館の使命を追い求めた最新の施設の姿がありました。
あとなびマガジンでは、館長の鈴木正孝さんに単独インタビューも行いました。館長自ら語る、新しい水族館の形、その内容はこちらで公開中です。