サンシャイン水族館では、「ゾクゾク深海生物2022」で展示しているメンダコが、2022年2月16日(水)で展示開始から53日目を迎え、国内展示最長記録を更新しました。
日本記録更新3つのポイント
サンシャイン水族館では「ゾクゾク深海生物2022」を2022年3月6日(日)まで開催中。イベント内でメンダコが展示されています。例年メンダコの展示を行なっていますが、長期の展示は非常に難しく、サンシャイン水族館での今までの最長展示記録は17日でした。今回、日本国内での展示最長記録52日を抜き、日本記録を更新しました。
展示から53日目となった現在も状態良好で、腕を広げて体を大きく見せるような姿や、アクロバティックな動き、定期的にエサを食べる様子等、今までのメンダコでは見たことのないような動作も観察することができています。
ポイント1 漁獲時の個体への影響が少なく、非常に良い状態で採集
現在展示しているメンダコは、2021年12月25日(土)に静岡県の駿河湾沼津沖で底曳き網漁の船に同乗した飼育スタッフが採集。通常、網を引き揚げる際に他の漁獲物などに揉まれて傷つくことが多いのですが、今回は個体への影響が少なく非常に良い状態で採集することができました。
ポイント2 減圧のリスクを減らすために運搬時に初めて加圧水槽を使用
底曳き網漁では、駿河湾沼津沖の深さ200m~500mにいる深海生物を底曳き網で獲り、船まで一気に引き上げます。メンダコなどの軟体動物は、急激な水圧の変化があっても影響を受けにくいと言われていますが、全く影響がないわけではありません。今回、深海に近い水圧を再現できる水槽「加圧水槽」を初めて使用し、水深70mの圧力をかけて減圧のリスクを減らして、メンダコを池袋まで運搬しました。
ポイント3 水中ドローンによる深海調査から得た水温データを元に飼育水温を推定
2019年より水中ドローンを使用した深海の調査活動を開始してきました。取得した水温データをもとに、今回の水深350mの水温を10~11℃と推定。船上では、凍らせたペットボトルで海水温を調整し、低水温を保ったまま加圧水槽に入れてメンダコを運搬しました。また、サンシャイン水族館内の水槽においても、水温を10℃に設定して状態よく飼育展示しています。