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ディズニー×シルク初演目には日本人も11名出演「ドロウン・トゥ・ライフ」日本人パフォーマーインタビュー

2022年6月19日 あとなび

(左から)江上駿祐、川端勇輝、弓田速未、朝留涼太、野呂昂大、井藤亘、西澤春佳、田上絢子、境野友香、岩柳美希、前野はな

フロリダ ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内のディズニー・スプリングスでは、シルク・ドゥ・ソレイユの新作ショー「ドローン・トゥ・ライフ」を、2021年11月18日から公演しています。

ショーに出演する日本人パフォーマーへのインタビューの模様をお届け。

ディズニーアニメーションとシルク・ドゥ・ソレイユのコラボ

ティム・ベネット

初めに、アーティスティック・ディレクターのティム・ベネットさんがショーの概要を話しました。

ティム:ディズニーとシルク・ドゥ・ソレイユが初めて共同で作った作品です。何年もかけてこの演目の成功に向けて話をしてきました。ディズニーの驚くべき魔法のような心動かすストーリーと、シルク・ドゥ・ソレイユの想像力豊かなセットやコスチューム、あっと驚くアクロバットが、見事に組み合わさり、新たな作品となりました。

「ドロウン・トゥ・ライフ」は、12歳の少女ジュリーの物語です。彼女の父はディズニーのアニメーターでした。物語は、ジュリーの父が亡くなった直後から始まります。ジュリーは、父が遺した未完成のアニメーションを発見します。

ジュリーと父はいつも絵を描いて楽しんでいました。父が亡くなって彼女は輝きを失っていました。ジュリーは魔法で父のアニメーションデスクに飛び込み、アニメーションの世界に入ります。旅路の一つ一つで、アニメーションの世界を知り、父との思い出を見つけていきます。「ドロウン・トゥ・ライフ」の旅の最後には、彼女は絵を描く楽しみを知り、自分を信じることができるようになります。

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日本人パフォーマー11名が出演

(左上から)境野友香、岩柳美希、西澤春佳、田上絢子、前野はな

「ドロウン・トゥ・ライフ」には、11名の日本人が出演しています。男性パフォーマー6名が男子新体操、女性パフォーマー5名が一輪車の演技を行います。

男子新体操の朝留涼太さん、江上駿祐さん、川端勇輝さん、弓田速未さん、野呂昂大さん、井藤亘さん。一輪車の境野友香さん、岩柳美希さん、西澤春佳さん、田上絢子さん、前野はなさんの11名に「ドロウン・トゥ・ライフ」について伺いました。

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「ドロウン・トゥ・ライフ」出演の経緯

(左上から)朝留涼太、江上駿祐、川端勇輝、弓田速未、野呂昂大、井藤亘

「ドロウン・トゥ・ライフ」以前からシルク・ドゥ・ソレイユのショーに出演していたのは、野呂さん、弓田さん、朝留さん、境野さんの4名。

野呂・弓田・朝留チームは、以前出演していたショーが終了する前に「ドロウン・トゥ・ライフ」の話があり、そこで新体操を使いたいということで声がかかったそう。チーム内で引退する方などがいたことから、追加メンバーのオーディションが開催され、江上さん、川端さん、井藤さんが加入したそうです。

境野さんは2011年から姉妹でシルク・ドゥ・ソレイユのショーに出演しています。新たなショーに向け、今度は5人チームでという話になったところ、お姉さんが妊娠していたこともあり、境野さんが全メンバーを選ぶことに。境野さんがこの演技を作る上で一番ベストなメンバーをスカウトして4人を選んだそうです。

男子新体操でアニメーションを表現

野呂:僕らはショーの中では、男子新体操で、アクロバット担当としてやらせてもらっています。ショーの立ち位置的にはディズニーのアニメーターが描いているデッサンのイメージで演技しています。フロアも紙のイメージになっています。

ティム:手描きアニメーションは、1枚毎に少しずつ違う絵を描き、連続することで絵が動きます。新体操チームは、その1枚1枚を演技で表現します。

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世界でここでしか観られない演技

朝留:男子新体操という日本発祥のスポーツでシルク・ドゥ・ソレイユに使ってもらっているのですが、他に世界のどこでも観られない演技です。アニメーターが描く1枚1枚がひとつになったところで全体が動くという、アニメーションの作る工程も表現できているのではないかなと思います。シンクロした僕たちのアクロバット、体の動きに注目していただけると良いんじゃないかなと思います。

コロナ禍の苦労

野呂:今はコロナでマスクをしながら演技しないといけないというのは僕らにとってはめちゃくちゃキツいことではあります。呼吸が大事なので、演技中に集中力や体力が結構奪われることが多いので、今だけのことですが、大変です。

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一輪車がブルーフェアリーに変身

岩柳:私たち5人は一輪車競技をやっています。音楽に合わせて演技を踊る中で、シンクロをしたり、個々の技、足を上げたりと、フィギュアスケートのような形で演技をしています。

私たちはショーの中では『ピノキオ』のブルーフェアリーの役として出演しています。私たち一輪車5人と、ピノキオのアクトがあって、一緒に一つの作品を作っているのですが、そのピノキオに私たちが魔法をかけて、一緒に回転をしたり、一つの作品を作っています。

前野:最後の風が来るようなすごく早いスピンが一番盛り上がるんじゃないかなと思っています。

毎日環境が変わる難しさ

西澤:一輪車演技は天気に左右されることが多くて。ステージやタイヤの状態が、雨が降っていると湿気が増えて摩擦が多くて滑りにくくなったり、すごく晴れていたらサラサラでそれはそれでやりにくかったり、ベストな状態がすごく狭くて。私たちは毎日ステージの上で練習があるわけではないので、本番でステージに乗ってみて初めてコンディションを知るということがほとんどなんですね。今日は滑る、今日は滑らないというのを、本番に入ってすぐに把握して、スピードを調整しながらやっているのが大変です。

他のアクトで体操系の人が滑り止めの粉を使うんですね。それが私たちのタイヤには敵で、それが付くとツルツルで何もできなくなってしまうんです。本番に出る前は靴の裏やタイヤを念入りに拭いて準備しています。

田上:本番前に5人で円陣を組んで心を一つにしてからステージに立つようにしています。「We are Fairies」って言っています。

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常に最高のショーを届ける

井藤:普段もちろん睡眠も食事も気を使っていますが、演技をする前のストレッチの中身だったり、アクロバットやバク転とかのウォーミングアップの中身だったり、演技前にするルーティーンだったり、時間を決めることや中身を決めることをしています。そうすることで自分の気持ちを一定に整えています。

舞台に出てからは、お客さんを意識して、常にお客さんを楽しませる。もしかしたら今来ているお客さんにとって人生最後のショーかもしれないし、人生最初のショーかもしれないし、その人にとってどうであれ最高のものを出そうと思って常にパフォーマンスしています。

田上:まずは自分自身が一番ショー自体を楽しんでいます。自分が楽しむことでお客さんも楽しんでもらえますし、その中でプラスアルファでお客さんとのコミュニケーションを自分で取ることを心がけています。例えば演技の中でにこっと笑うことでお客さんはとても喜んだ姿を見せてくれますし、お客さんとのコミュニケーションをとても大切にしています。

毎回異なるお客さんが観に来る中で、毎回同じ演技ですが自分達の100%を出してやっていくことを大切にしています。

野呂:毎日同じことを僕らはやっているので、どういう風に飽きないかを考えていて、もちろん失敗しないことも考えていますが、いかに長く僕らの士気も上げながら毎日パフォーマンスをするかを考えています。

境野:このショーに出ているメンバーは演者だけで50人以上いるのですが、コロナのことや怪我もあり毎回50人でショーをできているわけではなく、初めて観に来てくださったお客さんはそれが「ドロウン・トゥ・ライフ」だと思いますが、裏ではたくさんの人が今日のショーに出られないという環境があって。自分たちは一輪車だけをやっていればいいわけではなくて、裏でいろんな人がいろんな人をカバーし合いながらやっていて。実は昨日はこの役をやっていたけれど今日はこの役をやっているという人がいっぱいいるんです。

例えば、新体操の6人も完璧にライトの下に入るようになっているんですが、6個のライトがあるのに今日は5人という日があるのですが、お客さんは完璧だと思って一つのショーが成り立っているのが、全体を通してすごいなと思います。

2〜3回観てほしいショー

弓田:今回ディズニーとシルクのコラボなんですが、良い意味でディズニー感が強すぎない。それでシルクの良さもうまくコラボレーションしているショーになっていまして。ディズニーの曲がふんだんに使われてはいるのですが、シルクの曲もうまくコラボしていて、目立たないようになっていると思います。ストーリーとしては、オリジナルのストーリーに仕上がっています。

昔のサーカスというと大道芸みたいなイメージがあると思いますが、このショーはすごく綺麗に収まっていまして、そこまでアクロバットが強くなくて。1回観ただけでは分かり難いと思うので、個人的には2〜3回観てわかるというところもあると思っています。

プロジェクションもうまく使っていて、アーティストとプロジェクションの関係性もうまく配慮していただいていて、ステージだけでなくシアター内の全体を通して観れば、ショーが伝えたいことがわかると思います。

境野:お父さんと娘の愛のストーリー、愛の話なのですが、私も父と離れて暮らすのが長い中、プロローグでお父さんからの手紙が流れるのですが、毎回それを聞くたびに涙が出ます。200回もショーをしているけれど、出番の前なので衣装とか着替えたりすごく忙しく動いているのに、放送がかかっているので、一人でうるうるしています。家族の温かい感じが伝わってくるショーになっています。

取材協力:ディズニー・ディスティネーション・インターナショナル

©Disney
※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。
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