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老舗レーシングチーム・トヨタオフィシャルチューナー、トムスが手掛ける都市型EVサーキットとその展望

2023年11月11日 あとなび

本格EVレンタルカートによる都市型モータースポーツ体験とシミュレーターを用いたe-モータースポーツを楽しめる「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」が、2023年10月28日(土)にプレオープンしました。

レンタルカートというアクティビティ

レンタルカートは、かつてから自ら操ることができるアトラクションとしてのゴーカートと、競技に参加するためのレーシングカートの間の存在として、全国各地の遊園地やレンタルカート場で体験が提供されてきました。

今現在、国内でレンタルカートを体験できる施設としては、自動車メーカー系の施設として、傘下の企業が運営する三重県・鈴鹿サーキットや栃木県・ツインリンクもてぎといったサーキットに併設された遊園地内の施設や、関東圏では大井松田カートランドなどに代表される、レーシングカートの競技用サーキットとして運営する施設でレンタルカートを貸し出す形態、またF.ドリーム平塚のようにレンタルカート専業で運営する施設があります。その中でなぜ今、トムスが都市型モータースポーツ体験を手掛けることになったのでしょうか。

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来年50周年、レーシングチームとしての確かな実績を持つ企業トムス

CITY CIRCUIT TOKYO BAYは、老舗レーシングチーム、またトヨタオフィシャルチューナーとして知られるトムスが手掛けています。

トムスは1974年設立の企業で、設立以来トヨタ自動車のレース活動に関わっています。現在でも続くレース参戦の実績としては、1995年より参戦している、国内の市販車ベースで競われるトップカテゴリー「SUPER GT(旧全日本GT選手権)」や、2006年より参戦している国内最上級のフォーミュラーレース「スーパーフォーミュラー(旧全日本F3000選手権/フォーミュラ・ニッポン)」へのトヨタ系チームとしての参戦が挙げられます。また、2022年からは、JAF主催のレーシングカートの国内最大の選手権「全日本カート選手権」のEV部門に車両を供給するなど、モータースポーツのEV化に積極的な姿勢を見せています。

CITY CIRCUIT TOKYO BAYの記者発表会で、株式会社トムス舘信秀会長は「来年で50周年を迎えるにあたり、節目として新たな事業に挑戦していく」としています。

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節目で挑戦する4つの新規事業領域

発表会では、株式会社トムス経営戦略室長 CITY CIRCUIT総合プロデューサーの田村吾郎氏が、トムスが挑戦していく新規事業領域について説明しました。

EVモビリティ事業

田村氏によると、モータースポーツ文化は元々ヨーロッパで芽吹いた文化で、環境問題を考えたモータースポーツのEV化、また個人で楽しめるレンタルカートのEV化も盛んである背景を説明しながら、「日本ではなかなか普及しておらず、とはいえやらなきゃいけないというところで、『誰がやるんだろうね』みたいな状況が続いておりました」とし、いち早く手がけることでモビリティの未来とレースの未来に投資をしていきたかったという意図を説明しました。

実際に、現在国内のレンタルカート施設で主流となっているのは4ストローク・200ccの発電機等用の汎用エンジンを搭載した車両ですが、全日本カート選手権・EV部門への車両供給を通してノウハウを蓄積し、今回「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」で使用するレンタルカート車両を開発しました。

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カレッジ事業

ドライバー育成・モータースポーツの体験のハードルを下げる目的でトムスが実施している「トムス・フォーミュラー・カレッジ」がこれに当たります。富士スピードウェイの駐車場や本コースを用いて、モータースポーツ未経験でも、長袖・長ズボン、AT限定免許さえあれば、本物のフォーミュラーカーのドライビングを体験できるプログラムです。

デジタル事業

トムスは、CITY CIRCUITにも存在するシミュレーターや、東京タワー内のデジタルコンテンツを扱うテーマパーク「RED TOKYO TOWER」で体験できる、モータースポーツをデジタル空間上で体験するシミュレーターを開発しています。

レーシングチームとしての経験を活かし、実際のドライバー育成に効果的なシミュレーターを作っている他、群馬県前橋市と協業で、高齢者に対し実際の交通を再現したシミュレーターで反応速度の測定を行うなど、その活用はモータースポーツに留まりません。

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新ビジネス開発事業

上記のようなコンテンツを開発しても、実際に運用する場所が必要で、そういったノウハウがトムスには少なかったことから新たに開発していくのがこの領域だといいます。

現在「トムス・フォーミュラー・カレッジ」を開催している富士スピードウェイや、レンタルカート施設を擁すツインリンクもてぎも、東京都心からは最低でも1時間以上はかかる立地であり、より多くの人に事業を届け、モータースポーツを楽しむハードルを下げるため、都心の施設を開発したかったという狙いがあるといいます。

大型イベント「JAFモータースポーツジャパン」の経験と森ビルとの出会い

2022年11月19日・20日にお台場で行われたJAF主催のモータースポーツ総合イベント「JAFモータースポーツジャパン2022」にEVカートやシミュレーターの体験・EVカート選手権を出展したトムス。スポーツ庁をはじめとした様々な関係者から評価を受けたといい、その中に森ビル関係者がおり、「数年使える土地があるので、常設施設化を考えてほしい」と打診があり、早速トムスは2023年2月の取締役会で決議をして今に至るのだとか。

「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」のコースの真向かいには、森ビル所有の旧ヴィーナスフォートがあり、世界初のイマーシブテーマパークとして「イマーシブ・フォート東京」が2024年春開業を目指しています。こうしてお台場ベイエリアに新時代のエンターテイメントが揃っていくことで、地域の注目度もまた高まっていくことが期待できるでしょう。

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2030年に国内外で100店舗を目指す「ラウンドワンを指標に」

「CITY CIRCUIT」は2030年に国内外で100店舗を目指す事業であり、「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」はその旗艦店としての役割を担っていきます。

株式会社トムス谷本勲社長によると、未来の都市型・屋内型レンタルカート施設をつくる上で、5年間限定で象徴的施設として稼働させる目標で、スポーツからリラクゼーションまでをカバーする「ラウンドワン」のビジネスをベンチマークとして展開していきたいとしています。騒音面や、低速トルクの太さによりコース・ストレートが短くても楽しめる特性が、地方大通り沿いの目抜き通りや、駅前・屋上型施設なども検討できるのがEVレンタルカートのメリットでもあるそうです。

国外での展開については、「アジアは人口が増え、産業としての車も非常に成熟しているが、モータースポーツがトップをF1として全く根付いていない」とモータースポーツに長年参戦してきたエントラントならではの視点で分析。「草の根的にタイやフィリピンで広がりを見せているが、間を埋めるエンターテイメントとしてのレースに需要があるんじゃないか」と指摘し、こういった地域への積極的な出店もしていきたい考えを表しました。

一方「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」の訪日外国人対応については、「森ビルさんから商業施設の知見をお借りしていて、3〜4割の来場が外国人のお客様になるといったデーターで出ている」とのことで、英語・中国語への対応ができるように準備をしているといいます。またチケットサービスもオンラインで多言語・キャッシュレスに対応し、決済面でもハードルを取り払っています。

トムスが提案する新たなモータースポーツの魅力の発信拠点

ゆりかもめ「青海」駅の改札を出ればすぐに目に入る立地に完成した「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」。現在F1に参戦し、日本のみならず世界中を沸かせている角田裕毅選手も、4歳でレーシングカートに出会ったといいます。モータースポーツに触れるハードルが下がり、人口が増えることは未来のスター選手の発掘や、豊かなモビリティの未来につながる、トムスはそんなメッセージをお台場から発信します。

©CITY CIRCUIT TOKYO BAY
※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。
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