国内最高のフライトシミュレーションライド「富士飛行社」開発者インタビュー

2020年8月20日 あとなび

富士急ハイランドに2014年7月18日(金)オープンした日本初のフライトシュミレーションライド「富士飛行社」。

開発チームの中心メンバーである富士急行株式会社 企画部の宮尾哲也さんへインタビューを行いました。

※インタビューはアトラクションオープン時の2014年7月に行ったもので、内容・データ等は当時のものです。映像は2年後の2016年に6Kにリニューアルされています。

小さなお子様からお年寄りまで、最高の富士山を見せられるアトラクション

―――「富士飛行社」を導入された経緯を教えて下さい。

約1年前から構想しておりました。幅広い年齢の方、小さなお子様からお年寄りまで体験いただき、海外の方でも体験頂けるアトラクションを探しておりました。富士山が世界文化遺産になってから、国内、国外から様々なお客様が増えましたので、そういった様々なお客様に体験していただけ、最高の富士山を見せられるアトラクションとして、フライトシミュレーションライドを導入しました。

日本らしさを意識した世界観

―――アトラクションを体験し終わった第一印象、「これぞ日本だ!」でした。

海外からのお客様をすごく意識しまして、「日本でこんな体験をしてきた」といった印象を持っていただきたいと思い、作りました。富士山の映像のみですと、印象が足りないかな、と思い、今回は細かな設定を作りました。富士山の飛行観光を昔からやっている老舗の会社がある、という設定を作り、大和撫子の客室乗務員が接客をしているというストーリーを作りました。設定によって、より日本らしい世界観を作れたと思います。

―――建物の外観も日本らしい装飾ですね。

海外の方が来られた際に、今時の航空会社による富士遊覧ですと、「普通だなぁ」と思われてしまいますので、日本らしいテイストをかなり重要視しました。客室乗務員風のスタッフが和服のテイストを含むコスチュームであったり、歴史年表があったり、入り口に“のれん”をかけたり、提灯を掛けたりする事で、日本の文化を海外の方にも味わってもらえれば、と思いデザインしました。

映像と音楽の美しさ

―――4Kで風景を収録されたという事ですが、投影されている映像も4Kでしょうか?

そうですね。4Kのプロジェクターを1台用いて投影しています。10人乗りのユニットが上下左右に計4つありますが、上の段と下の段の中間辺りに1台設置し、160°の投影角度で幅20m、高さ17〜8mの大きなスクリーンに映し出しています。

―――4Kの魚眼カメラで1年間動画を撮影されたということですが、未使用の映像素材もかなりあるかと思います。今後、未使用の素材を用いて、ソフトチェンジを考えていらっしゃる、ということでしょうか?

今回使った映像素材は、撮影した全ての映像素材の1/200〜1/300といった所ですので、まだまだお蔵入りしている素材が沢山あります。富士山周辺にはお客様が知らない魅力が他にもたくさんありますので、その辺りを今後ご紹介していきたいと思います。

―――富士急ハイランドの空撮が映像に入っていませんでしたが、何か理由がありますか?

おそらく、皆さん富士急ハイランドの空撮が入ると思っているでしょうから、あえて、外させていただきました。今までの富士急ハイランドは絶叫のイメージが強く、若者向けという印象だったと思いますが、今回は富士山周辺を訪れる全てのお客様に向けたライドですので、あえて、富士急ハイランドをシーンに加えず、富士山周辺の景色でまとめました。

―――使用されている様々な特殊効果の中で、香りの演出が記憶に強く残っているのですが、何種類の香りが使われていますか?

3種類使われています。森のシーンが2種類、芝桜のシーンで1種類使っています。森のシーンは樹海のシーンと、霧もやのシーンで場所が違うということもあり、生えている木も違うモノですので、香りを作り分けました。樹海のシーンは針葉樹系、霧もやのシーンはウッディーなイメージの広葉樹系の香りとしています。

―――今回は音楽も聞き所とお伺いしております。

映像が4Kかつダイナミックな富士山ですので、この映像に負けない音楽をどうするか、という所はとても悩みました。コンピューターでピコピコ作るような音楽では絶対に映像に負けてしまいますので、フルオーケストラで録音した音楽を使おう、という話になりました。日本の音楽の巨匠といえば久石譲さん。「お断りされるかな・・・」と思いましたが、ダメ元でお声掛けをしました。たまたま、久石さんも富士山を大好きだということで、快く、引き受けていただけました。

最初に聴いたとき、おお、さすが久石さん・・・!素晴らしい!となりました(笑) まず、映像の元素材ありきで久石さんにお願いし、こちらの編集した映像のシーン毎に、シーンの切り替わりに合わせて流れを作っていただきました。音楽と映像がばっちり合っていると思います。

“アレ”とは全く別のライド

―――世界で4台目のフライトシミュレーションライドということですが、このライドを導入したい国内のテーマパークさんは沢山いらっしゃるかと思いますが、コンペ等はありましたか?

コンペ等は特に無かったです。この機種が初めて台湾に設置されてから5年程経ったかと思いますが、3台目のライドが昨年の夏、バンクーバーに完成しました。この魅力的なライドを日本で2番目ではなく、いち早く導入せねば、ということで日本初導入に向けて動く、ということになりました。

―――晴れて、日本初導入となったフライトシミュレーションライドですが、「日本らしい」ライドであり、海外含め幅広いお客様に楽しんで頂ける内容のものとなると、他社さんが国内2台目として、手を出しにくい状況では無いかと・・・

ありがとうございます(笑)

―――アトラクションの製造はDynamic Attractionsでしょうか?

Dynamic Attractionsではなく、台湾のメーカーです。

―――“アレ”とは全く別のライドということですか?

そうです。全く別のライドです。“アレ”は特許があり、彼らのテーマパーク以外では設置できません。他社が真似しようとしても、“アレ”と同じライドはできません。

団体用プランも

―――夏休み、かなり人気が出るかと思いますが、何か優先券等の販売の予定はありますでしょか?

4大コースターに絶叫優先券というのがありますが、「富士飛行社」は絶叫ではないので、絶景優先券のようなものを販売し、お並び頂く時間を短く、ご登場頂けるシステムで運用致します。また、団体のお客様のみではありますが、富士急ハイランドに入らずに、ライドを体験して頂ける仕組みを導入しようとしています。富士五湖をめぐる観光ツアーが沢山ありますが、富士急ハイランドに寄るには時間が足りない、というツアーがほとんどです。ですが、このアトラクションには幅広い方に体感して頂きたいので、団体様専用で「富士飛行社」のみを楽しめるプランの提供を検討しています。富士山を五感で体感していただける「富士飛行社」と隣接する富士山の絵画を集めた美術館「フジヤマミュージアム」の2つで富士山の美しさ、文化を感じていただきたいと思います。

―――富士山関連のツアーで富士急さんに寄らずにはいられなくなりますね。

そうですね。雪でも雨でも台風のような天気でも、いつでも富士山の素晴らしさを体験していただけると思います。

富士急行株式会社 企画部 宮尾哲也さん

※この記事は2014年7月にコンフェティに掲載した記事を再編集したものです。
(編注:東京ディズニーシーが「ソアリン:ファンタスティック・フライトの導入を発表するのはインタビューの約2年後の2016年4月27日です)

※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。

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