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少女歌劇と遊園地・テーマパーク 両者の歴史とこれから

2023年4月22日 加坂 紳

歌、ダンス、芝居といった舞台芸能を女性たちによって演じる日本文化・少女歌劇。

遊園地・テーマパークと少女歌劇、関係なさそうな、この2つのコンテンツ。今回はその関係性と過去、そして未来を探ります。

少女歌劇の歴史

1910年、当時最新の商業施設であった百貨店は「三越少年音楽隊」を結成。その後、子ども向けの余興のために全国に広まり、翌1911年に東京・日本橋の呉服屋、白木屋にて女性のみが出演者となる「白木屋少女音楽隊」が結成され、店内で余興として公演を始めました。

1911年、阪急電鉄の前身となる箕面有馬電気軌道創始者の小林一三さんが箕面有馬電気軌道の終点、宝塚への旅客誘致を目的として「新宝塚温泉」をオープン。同施設は国内初の室内プール「パラダイス」などの施設を加え「宝塚新温泉パラダイス」となるも、室内プールの不振により1913年に閉鎖。

プール跡地にて新たな施策を模索したところ、「三越少年音楽隊」や「白木屋少女音楽隊」に影響を受け、「宝塚唱歌隊」を結成。後に「宝塚少女歌劇養成会」と名称を変え、1914年、「パラダイス劇場」へと改装されたプール跡地にて公演を観覧無料にてスタートしました。

1919年に宝塚音楽歌劇学校を設立し、名称は「宝塚少女歌劇団」に。1922年には「宝塚少女歌劇団」に刺激され「松竹楽劇部」、後の「OSK日本歌劇団」と「松竹歌劇団(SKD)」が誕生しました。

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遊園地・テーマパークと少女歌劇

1924年に「パラダイス劇場」等の施設が焼失したものの、代替施設として3500席の「宝塚大劇場」と遊戯施設を設置した遊園地「ルナパーク」を建設。のちに動植物園やジェットコースターに加え、鉄道運営会社だからこそ可能な「宝塚交通館」もオープン。温泉、演劇、遊戯施設、動植物園と1日楽しめる娯楽施設となります。

1927年には日本初のレビュー『モン・パリ 〜吾が巴里よ!〜』を公演し、ラインダンスや大階段、そして男役といった日本の少女歌劇の基本となる部分がこの頃に生まれました。

このように、少女歌劇は遊園地・テーマパークをはじめとする国内レジャー施設と共に成長してきました。

1965年には福岡県・博多のレジャー施設「博多パラダイス(現在の博多ポートタワー)」にて「博多パラダイス少女歌劇団」が発足。1970年には栃木県・那須高原の総合レジャーランド「那須ロイヤルセンター」にて「那須ロイヤルダンシングチーム」が発足し1997年まで公演、翌1971年に「OSK日本歌劇団」は「近鉄あやめ池遊園地」に常設劇場をオープンし、2003年まで公演を実施するなど、いずれも終演してしまいましたが、国内レジャー施設にて少女歌劇ブームが巻き起こりました。

「松竹歌劇団(SKD)」は残念ながら解散してしまいましたが、「スタス・レビュー(STAS)」と題して当時のメンバーを中心に新たな少女歌劇を旗揚げし、不定期ながら「浅草花やしき」内の劇場「浅草花劇場」にて公演を行っております。なお、「浅草花やしき」では1995年から2022年まで「花やしき少女歌劇団」も定期的に公演を行っておりました。

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新たなる歴史の幕開け

2013年7月、遊園地・テーマパークと少女歌劇の軌跡に新たなる歴史が刻まれました。

「ハウステンボス歌劇大劇場」オープニングセレモニー

九州を代表するテーマパーク、「ハウステンボス」が新たな少女歌劇チーム「ハウステンボス歌劇団」を発足。「宝塚歌劇団」や「OSK日本歌劇団」出身者らを軸に、パーク内のテント型野外劇場にて30分のレビューショーを公演。

FANTASTIC REVUE 〜花に舞う妖精たち〜

脚本・演出・振付には「宝塚歌劇団」、「OSK日本歌劇団」出身のみならず、「那須ロイヤルダンシングチーム」などレジャー施設少女歌劇全盛期にも活躍された大御所も参加するなど、ハイクオリティなオリジナル演目を展開しています。

FANTASTIC REVUE 〜花に舞う妖精たち〜

2014年1月には屋内型の常設劇場「ミューズホール」が誕生。同年5月には舞台人養成のために「ハウステンボス歌劇学院」を開校。公演では少女歌劇らしい背負い羽根も登場し、レビュー作品だけではなく、ミュージカルの上演もスタート。

Legendary Dream 〜愛のはじまり〜

2016年よりハウステンボスの姉妹テーマパーク「ラグナシア」でも2020年11月まで公演を実施。

Blue blue wind 〜光へ〜

2017年、「歌劇 ザ・レビュー ハウステンボス」と名称を変更し、福岡県では「歌劇ザ・レビューシアター」として常設劇場もオープンするなど、積極的に展開してきました。

Legendary Dream 〜愛のはじまり〜

大劇場オープン、その先へ

2023年3月、元の名称「ハウステンボス歌劇団」へ変更すると共に、新たな一歩を踏み出しました。1,000席規模の新たな専用劇場「ハウステンボス歌劇大劇場」へと本拠地を移動。

「ハウステンボス歌劇大劇場」柿落とし公演

16段の大階段も備えるステージに加え、オペラハウスを思わせる豪華な内装のホールで華やかな演目を展開します。

「ハウステンボス歌劇大劇場」オープニングセレモニー

現在は少女歌劇らしいスターシステムを用いた5チームで順次公演を行っており、「ハウステンボス歌劇大劇場」では異なるチームによる異なる演目を60分ほどの公演時間にて常時上演しています。

「ハウステンボス歌劇大劇場」オープニングセレモニー

テントでスタートした「ハウステンボス歌劇団」。行き着くところまで来てしまった印象もある豪華絢爛な新たなる劇場を用い、今後どのように展開していくのか、興味が尽きません。

※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。
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