ミュージカル「カム フロム アウェイ」が、2024年3月~5月に、東京・大阪・愛知・福岡・熊本・群馬にて公演されます。
12人で100人近くを演じる100分間
2011年のアメリカ同時多発テロ、通称「9.11」。
アメリカ連邦航空局(FAA)はテロ発生直後に同国領空を飛行および離陸する全ての民間航空機に対して空域の閉鎖、離陸の即時中止、及び最寄りの空港への着陸を指示。未曽有の事態により、行き場を無くした4,000機以上におよぶ民間機の内、38機を迎え入れる事となったガンダー国際空港が位置する、カナダのニューファンドランド・ラブラドール州にある小さな町、ガンダーで起きた5日間驚くべき実話を基にしたミュージカル「カム フロム アウェイ」。
2015年にサンディエゴで初演、2017年にはブロードウェイに進出し約5年半に及ぶロングラン公演を行い、現在まで世界各国での上演で高い評価を受けてきました。
音楽と共にスピーディーに伝えられる5日間の物語は、12人の出演者のみで100人近くの役を次々に演じドラマが交錯する。開演と同時に一気に展開されていく濃密な100分間が日生劇場60周年イヤーの締めくくりを飾ります。
東京公演の開幕まで約3週間あまりというタイミングとなった中、稽古の様子がメディアに公開されました。
Welcome to The Rock(ザ・ロックへようこそ)
今作において印象的である14脚の色も形も異なる椅子、2つの小ぶりなテーブルといったセットが回転盆の上に配置されています。その下にはキャストの一人である橋本さとしさんが製作発表にて語っていた、おびただしい数のバミリ(位置目印)が記されており、椅子の移動やセットチェンジをキャスト自らが行う本作の大変さを物語ります。
この日公開されたのは劇中の2ナンバー。演出補のダニエル・ゴールドスタイン氏から、各ナンバーのシーン背景や見所が説明されます。2017年のブロードウェイ公演から今作に携わるダニエルの説明と共に、まずは歌のウォーミングアップとして、「Welcome to The Rock(ザ・ロックへようこそ)」がキャスト夫々の声量や抑揚で1曲通され、そのまま同曲のシーン披露へ。
「この物語は、困難な時に人に寛大に接することを語る作品であり、作家たちが実際にニューファンドランド島に取材に行き、人々から様々なことを教えてもらいました。1時間40分ノンストップで上演される作品です。様々な役を演じる役者には、客席の皆さんと目を合わせて実際に繋がって物語を語ってくれ、と伝えています」とダニエルが説明。
12人の出演者が様々な役でガンダーの街が持つ多彩な表情を、そして迎える運命の日「9.11」の導入部をパワフルな「ストンプ」のようなパフォーマンスを取り入れて表現します。
日本を代表する豪華舞台俳優陣のパフォーマンスゆえ、ダニエルからも数点の修正点が出たくらいで、逆に俳優陣から「ダニエルの優秀な演出のお陰」との返し言葉も。
そこに振付補のジェーン・バンディング氏から、目線の行き先といった細かく入念な修正が俳優陣に伝えられ、それを瞬時に12人が共有します。
Screech In(ラム酒を飲め)
開幕約3週間前にして、既に通し稽古が出来ているという今回の稽古場。続く2曲目は「Screech In(ラム酒を飲め)」。
ニューファンドランドでは、他所からやって来た者を「Come from Away」と呼び、その人達が名誉ニューファンドランド市民、つまり、島の民になりたい場合、「Screech In」という儀式が行われます。
9.11という未曽有の事態により、突如約7,000人ものCome from Awayがやってきたニューファンドランドの街の人々は、テロ発生から数日経ったある晩にCome from Away達の為にバーでScreech Inを催すというシーン。
ただ、Screech Inはかなり特異な儀式であり、アイリッシュサウンドが響き渡る中、ニューファンドランド産のラム酒である「Screech」を筆頭に缶詰のソーセージを飲み食べし、更には、かつて世界的な漁獲量を誇ったタラにキスをするといった行程を経て、ニューファンドランド名誉市民の証書が渡されるという、もはやパーティーの様相を呈します。
そんな中、Come from Awayの人達と街の人達が見せる表情、特に安蘭けいさん演じるバツイチテキサス人女性のダイアンと仕事一筋のイギリス人石油エンジニア男性のニックとの恋模様や、ロスからやって来た田代万里生さん演じるケビンJ、浦井健治さん演じるケビンTのカップルがガンダ―の街や自身の現状に抱く感情の違い等が見所であり、シーンの最後では演奏者達も舞台上に出て華やかな場面になる、とダニエルが説明し、約40分間の稽古シーン披露が終了。
ダニエルから改めて来場者へのメッセージが。「キャストは本当に謙虚で正確に頑張ってくれていて、この公演を日本に持ってこれて光栄に思います。最初に来日してから12年、本当に親切にしていただいて東京は大好きな街です。凄くディテールが多く、何度見ても色々な発見がある作品で、キャストがやっている細かい芝居に一度目は気づかなかったことにも気付けると思いますし、今回のカンパニーだからこそできる芝居もあると思います。ニューファンドランドの人たちがいかにして『カムフロムアウェイズ』と交流したかという物語をお届け出来る事を楽しみに思っております。」
東京公演・日生劇場:2024年3月7日(木)~3月29日(金)
大阪公演・SkyシアターMBS:2024年4月4日(木)~4月14日(日)
愛知公演・愛知県芸術劇場 大ホール:2024年4月19日(金)~4月21日(日)
福岡公演・久留米シティプラザ ザ・グランドホール:2024年4月26日(金)~4月28日(日)
熊本公演・熊本城ホール メインホール:2024年5月3日(金・祝)・4日(土)
群馬公演・高崎芸術劇場 大劇場:2024年5月11日(土)・12日(日)
公演時間:約1時間40分(途中休憩無し)