テレビアニメ「チャージマン研!」舞台化第3弾「Live-Musical-Stage『チャージマン研!』2023」が、2023年12月23日(土)~12月31日(日・祝)の期間、新宿FACEにて公演されています。
怪作が3度目の開幕
1974年にTBS系列にて放送されたTVアニメ「チャージマン研!」。舞台はアニメの放送年から100年後となる2074年、科学が飛躍的に発展した未来都市で主人公・泉研がチャージマンに変装し地球侵略を目論むジュラル星人の脅威から地球を守るために奮闘する物語が描かれる、知る人ぞ知るアニメ作品は、シュールすぎる設定やツッコミどころ満載な展開に注目が集まり、近年になって、ネット上のブームや人気バラエティ番組でも取り上げられ話題となりました。
そのアニメ放送から約45年の時を経た2019年10月、「LIVEミュージカル演劇『チャージマン研!』」としてまさかの初舞台化が実現。4人のチャージマン研を筆頭に客席を巻き込むキャストの熱演、舞台外周を360度客席が囲む独特な劇場構造をフルに使った、どこから観ても楽しめる独創性の高い演出、そして舞台演劇の常識や慣固定概念を見事に無視した驚きの展開。色々な意味で常識外れな初演は原作ファンは元より、演劇ファンからも「観劇感想が表現出来ない」との“賞賛”を受けました。
続く2020年10月に第2弾「LIVEミュージカル演劇『チャージマン研!』R-2」が上演。コロナ渦真っ只中という上演環境を逆手に取り、劇中では音源による口パク歌唱や、新型コロナウイルスを「未知のウイルス」として表現し、チャージマン研達がそれに立ち向かうといった演出がなされ、こちらも好評の内に終幕。
それから約3年の月日が流れた2023年12月、三度会場となった新宿FACEには、会場内中央のアクティングエリアを360度座席が囲み、その傍らにはアニメで象徴的なあの“毛”が設置されるおなじみの装飾がなされる中、開演前から場内ではジュラル星人達が怒涛の歓迎で来場者のハートを鷲掴みに。
実力派舞台俳優陣の猛演技&絶唱
アニメで放送された中でも特に著名なエピソードを舞台上で精巧に再現するという2.5次元ミュージカル作品では王道の展開がなされるLive-Musical-Stage『チャージマン研!』2023。
本作の大きな特徴の一つに、アニメでは1人であったはずの主人公・チャージマン研が舞台上では4人登場し、同一シーンがキャストを入れ替えて4度繰り返されるという、ある種のデジャヴを覚える様な演出が要所要所で行われ、場合によっては尺稼ぎのために劇進行とは関係ないアドリブが差し込まれるといった、舞台常識が通用しない驚異の展開もしばしば。
主人公・チャージマン研を演じるのは、大見拓土さん、髙﨑俊吾さん、横井翔二郎さん、中村誠治郎さん、東拓海さん、古谷大和さんの高い演技力と歌唱力が評価される俳優6名。髙﨑さん、中村さん、東さん、古谷さんの4名は第1弾から連続で研役を務めており、今作でも日替わりで研の父、泉博役やWキャストを務める等、全11公演の中で各々が強烈な個性を放つ多彩なチャージマン研の組み合わせが、色んな意味での化学反応が期待できます。
劇中では各俳優が得意とする武器のアクションや殺陣が効果的に織り込まれていたり、人気2.5次元作品のパロディと思わしきシーンも存在。各キャスト共に笑い声の絶えないシーンから、シリアスな場面での演技の動と静の演じ分けも見所の一つ。研の妹、キャロン役を初演より3作連続で務める星元裕月さんや、泉家のロボットのバリカン役を務める赤間頼依さんが研の脇をしっかりと固めています。
対する村上幸平さん演じる魔王率いるジュラル星人達も曲者揃い。第1弾では「ちょっと経験した事無い程のクレイジーな舞台」というコメントをしていた村上さんも、今や魔王そのものといった貫禄の演技を見せ、そこに全力でジュラル星人を務め上げるキャスト陣の熱量も、ジュラルリーダー役の上杉周大さんを筆頭に、つい推したくなってしまうような魅力が溢れています。
第3弾におけるキーパーソンと言えるのが、山﨑玲央さんが演じる西ドイツの科学者、ボルガ博士。第1弾、第2弾と、アニメ同様に爆死という凄惨な最期を遂げさせられていたボルガ博士。しかし今作では冒頭にて“違う世界線で生きてみたい”と、魔王とある誓いを立てるのですが…。
そして今作最大のサプライズが、アニメにおいて魔王の声を担当したベテラン俳優の佐藤昇氏による生本編ナレーションの実施。事前に佐藤氏の録音ナレーション参加は告知がされていたものの、アニメ放送から間もなく半世紀が経とうかという2023年末、レジェンド本人の登場に大きく客席がどよめき、村上さんの“魔王同士”の固い握手に喝采がおくられていました。
舞台常識の通用しないぶっ飛んだ演出
演出は「劇団ナイスコンプレックス」主宰のキムラ真氏が、脚本は「おそ松さん on STAGE~SIX MEN‘S SHOW TIME」シリーズや、「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズ等でその手腕が知られる伊勢直弘氏、音楽はロックバンド「UNICORN」のメンバーの手島いさむ氏が担当。お馴染みとなった劇中冒頭を飾るアニメオープニングテーマのロックアレンジは、この舞台の幕開けに相応しいパワフルサウンドです。第3弾上演に際しては新曲が登場。中には村上さんが作品プロデューサーに直談判を行い、制作された経緯の楽曲も存在しています。
公演中盤には、ステージ上のみならず、劇場外の3か所を含む4つのエリアでキャストと来場者が共に移動しての物語が同時進行で繰り広げられるという、チャー研ステならではのアクティブな演出が第1弾以来、久しぶりの復活に。更に会場販売グッズの一つとして「紙テーーーープ!」(500円)がラインナップされており、投げ込み推奨ポイントでは、客席のあらゆる方向から無数の紙テープが舞う、来場者の積極的な舞台参加を彩ります。
そして舞台化第3弾の新たな企画として、会場内の一角に設けられたのが「お祝いシート」。各回1エリアしか設けられない、記念日や自身への褒美等、兎にも角にも祝ってほしいという観客に向けて販売されたシートには、劇中の要所にて出演者全員が怒涛の如く祝福。初日公演では、毎日弟にお弁当を作り続けている自分へのご褒美としてお祝いシートを購入した来場者を場内全員でお祭りの様に祝います。そして、この特殊シートの来場者はただ祝われるだけに留まりません。
公演期間:2023年12月23日(土)~12月31日(日)
会場:新宿FACE
上演時間
通常公演:約120分強(+15分間の途中休憩)
特別公演:約150分(+15分間の途中休憩)
※いずれも予定・前後する場合有
料金:ジュラルシート 11,000円/一般席 8,800円/立見席 5,900円/NFT付き一般席 9,800円
※特別公演は各プラス1,000円
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