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としまえん「カルーセル・エルドラド」を映画用ソフトフィルター”ブラックミスト”で撮る

2020年12月27日 坂東樹

“View Finder”を通して、テーマパークの新たな楽しみ方の”Style”を見つける、『Find My Style』。

今回は、としまえん「カルーセル・エルドラド」を、映画用ソフトフィルターを使用して撮りました。

プロローグ

私は元々、描写に変化を与えるレンズフィルターというものに肯定的な方ではありません。AppleがMacintosh用のアクセサリとして、初めてデジタルカメラを発売した「デジタル写真元年」とも言える1994年に生まれ、幼い頃触っていたパソコンにはすでにPhotoshopが入っていて、露出も色も、もちろんソフト効果やシャープネスも、なんでもパラメータを触れば自由自在という感覚があったからなのか、撮影時に不可逆的な演出をすることに対して疑問を感じてしまっていたのかもしれません。

記録を辿ると、このレンズフィルターは今年の4月18日に、オンライン通販で購入されていました。大きな不安が渦巻いて、何を撮っていいかもわからない中で写真をやっていく、そのためには自分のスタイルとも改めて向き合う必要があるかもしれない。そんな覚悟が込められた小さな買い物、大きな決断だったのかもしれない、と今思います。

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今は無き景色

110年を超える歴史ある乗り物の最後を見届けようというのだから、「どんなカメラを持って行ってどんな写真を撮ろうか」というのは当然浮かんでくる命題でした。「その日はコースターにも乗るだろうから大袈裟な機材は避けて…」なんてことを考えて手元に用意したのは、とりあえず潰しのきく高倍率ズーム一本、そしてブラックミストが取り付けられる口径の単焦点レンズとミラーレスカメラ一台でした。ほぼ一日中高倍率を付け放しにして、暑さにのぼせながら向かったカルーセル・エルドラドの前で、手は自然ともう一本の単焦点レンズへと伸びていました。決して長くないループで何度も耳にするのに嫌に耳につくことはない、けれども忘れられない音楽。乗ってみると意外と速い回転。印象的な乗り物でした。自分たちが乗っている、長いようで短い時間。写し取った景色をご覧ください。

神話の世界のような神聖さは、フィルターをかけても決して見劣りすることはない。

シャドウへのソフト効果はほどほどに、ハイライトがやわらかい表現になっているのがわかる。

複雑に入り組んだ装飾は、真上を見上げても途切れることがない。

「運転中は座ったままで」なんだ、もっと高尚なことを言いたげなふくろうなんだとばかり。この親しみやすさにとしまえんらしさを感じる

頭上高くの飾り人形。頬には傷もある。どうやって付いたのだろうか。110年の歴史だけが知っている。

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今回の”View Finder”

ケンコー・トキナー ブラックミスト No.1

元々テレビ・映画用であったブラックミストタイプのフィルターを写真用に転用したものというこのフィルター。使用したカメラの色表現とも相まってまさに映画のワンシーンのようなカットを撮ることができました。

Kenko レンズフィルター ブラックミスト No.1 52mm ソフト描写用 715284
Amazonで見る

エピローグ

もう戻らない景色を、もう戻せないフィルターをかけて見つめる。今まで否定的だった行為も、本当にもう戻らないものだったからこそ認められたのかもしれない。そんな風に思わされた、カルーセル・エルドラドの景色でした。さて、次はどんなStyleを探しに行きましょうか…。

※記事の内容は取材時の情報です。掲載している情報が変更になっている場合があります。
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