アドベンチャーワールドは、「ジャイアントパンダ歓送セレモニー 〜ありがとう!永明 いってらっしゃい!桜浜・桃浜〜」を、2023年2月21日(火)に開催しました。
パンダファミリー大黒柱が28年暮らした白浜から旅立ち
アドベンチャーワールドでは、ジャイアントパンダファミリー7頭が暮らしています。そのうち3頭が、2023年2月22日(水)に中国四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地へと旅立ちます。
旅立ちの前日となる2月21日(火)には、アドベンチャーワールド園内で、最後の一般公開と歓送セレモニーが開催されました。
お別れに朝から長蛇の列
アドベンチャーワールドは開園前から大勢のゲストが訪れました。予定より15分早く9:45に開園し、ブリーディングセンターには長蛇の列ができ、開園後には100分待ち、最大で120分の待ち時間となりました。
永明と桃浜が公開され、朝から元気におやつや笹を食べている様子を見せてくれました。桜浜は発情の兆候が見られるため、バックヤードで過ごしていました。
歓送セレモニー
一般公開は15:30で終了し、16:00からはビッグオーシャンにて「ジャイアントパンダ歓送セレモニー 〜ありがとう!永明 いってらっしゃい!桜浜・桃浜〜」を開催。約2,000人のゲストが集まりました。
園長と中華人民共和国駐大阪総領事代行からの挨拶、さらにTwitterで募集されたゲストからのメッセージを紹介。
そして、3頭がブリーディングセンターからの中継で登場しました。中継前には、ジャイアントパンダの歴史を振り返る動画も上映。桜浜と桃浜は約7分、永明は約13分もの可愛くも感動的な映像が流れました。
中継の際、双子のお姉さん桜浜は、バックヤードで笹を食べている様子。ジャイアントパンダ飼育スタッフの宮下さんが、桜浜の様子を見ながら、思い出を語りました。中継の最後には、カメラの方へ歩いてくる姿も見せてくれました。
妹の桃浜は運動場から中継で登場。遊具の上でごろごろしている姿、さらに地面へと降りて歩き回っていました。
永明はぐっすりとお昼寝している様子。感傷的な空気の中に現れた和やかなアップの映像に、会場からは思わず笑い声が。
そして、ジャイアントパンダ飼育スタッフを代表して、品川友花さんが3頭へのメッセージを披露しました。
最後に、当日ゲストが書いた3頭への寄せ書きが披露され、園内で配布された旗を振って、会場全員で「ありがとう!永明 いってらっしゃい!桜浜・桃浜」と呼びかけ、セレモニーは終了しました。
飼育スタッフ代表メッセージ
桜浜、桃浜、永明へ。
まずは桜浜、桃浜。
アドベンチャーワールドで初めてのメスの双子で仲の良い桜浜と桃浜。2頭が並ぶと、まるで鏡のようにシンクロしている姿や、一緒にじゃれて遊ぶかわいらしい姿をいつも私達に見せてくれました。
桜浜は小さい頃からマイペースで、他の兄弟とは違った行動をすることがあり、ずっと見ていても飽きませんでした。桜浜といえば小さい頃から舌を出す癖がありますが、それは今でも変わらず、くりっとした丸い目でこちらをじっと見て舌をペロペロしながら待っている姿が思い出されます。いつも癒してくれる桜浜が好きでした。
桃浜は小さい頃から優しいパンダでした。でも、いつも運動場では、のんびりしている桜浜を置いて先に出て行き、おやつや美味しい竹を全部食べてしまい、桜浜よりも体重が増えていた時期がありましたね。それでも食べている途中でじゃれてくる桜浜の相手をしたり、美味しい竹を譲ってあげたり、今でも柵越しに桜浜や妹たちとじゃれている姿を見ると、やっぱり優しい性格なんだなと思います。大きくなった今でも、さりげないところに優しさを感じる桃浜が好きです。
桜浜と桃浜は、良浜の深い愛情を受け、また皆様に見守られてすくすくと成長してきました。中国で素敵な相手を見つけてお母さんになる日が来ることを心から願い、楽しみにしています。
そして永明、長い手足で歩く姿やメスをリードする姿がかっこよく頼もしい一面と誰よりも甘えん坊でとてもかわいい一面があり、いろんな魅力にあふれる唯一無二のパンダ、永明。こんなにみんなから愛されているパンダはいないと思います。竹にこだわりがあり、泣いて竹を欲しがる永明の戦いはスタッフみんなの一番の思い出です。年々グルメ度合いが増す永明のために、暑い日も雨の日もパーク内の竹林へ竹を取りに行ったのも今ではいい思い出です。永明のおかげでたくさんの竹の種類を覚えました。竹の選び方や健康管理、トレーニングなど、パンダの飼育の基礎は全て永明から教わったようなもので、感謝してもしきれません。永明、本当にありがとう。
そして永明は、この28年間で16頭ものお父さんとなり、多くの尊い命を繋いでくれました。永明の子供や孫は例年数を増やし、いつか永明の血を受け継ぐ子孫が、野生に帰る日が来ることを願っています。中国の竹は種類が豊富で、タケノコもほぼ1年を通して手に入れることができるそうです。
永明、これからも美味しい竹をたくさん食べて、穏やかな日々を送りながら現地で長生きしてね。
永明、桜浜、桃浜、今までたくさんの幸せをありがとう。
最後にゲストの皆様、これまで3頭を温かく見守ってくださり、本当にありがとうございます。永明たちが向かう成都ジャイアントパンダ繁育研究基地で長年行われております、繁殖研究の最終目標は野生のパンダを増やし、守っていくことです。ジャイアントパンダの未来のため明日、3頭は中国へと旅立ちます。成都の研究基地では繁殖技術や医療技術が年々向上し、様々な技術や知識を持つスタッフ、老齢個体の健康管理のエキスパートもおり、各個体に合わせた飼育管理が行われています。中国でもしっかりとサポートを行ってまいりますので、3頭の新たな一歩を温かく見守っていてください。
本日は3頭のために多くの方にお集まりいただき、誠にありがとうございました。
ジャイアントパンダ飼育スタッフ代表 品川友花
アドベンチャーワールドの歴史に名を刻んだ永明
「永明(えいめい)」は、アドベンチャーワールドのジャイアントパンダファミリーの大黒柱として、28年にわたり親しまれてきました。
永明は、1992年9⽉14⽇に北京動物園で誕生。1994年、中国成都ジャイアントパンダ繁育研究基地の日本支部として、世界で初めてブリーディングローン制度でジャイアントパンダ自然繁殖のための日中共同研究を開始し、9⽉6⽇にメスの蓉浜(ようひん)と共に来園しました。しかし蓉浜が1997年に急逝。3年間1匹で過ごした後、2000年の七夕の日に梅梅(めいめい)が中国から来園。
永明と梅梅は、雄浜・秋浜・隆浜・幸浜・明浜・愛浜の6頭の親となりました。梅梅は2008年に永眠。その後は、梅梅が中国時代に別の雄との間で妊娠しアドベンチャーワールドで出産した娘、良浜(らうひん)と永明がパートナーとなりました。
永明と良浜は、永浜・梅浜・陽浜・海浜・優浜・桜浜・桃浜・彩浜・結浜・楓浜の10頭の親となり、浜家は一大ファミリーに。
アドベンチャーワールドで誕生した16頭の子供のうち、11頭が中国へ移動し、4頭が繁殖に成功し20頭以上の子孫を残しています。さらに、中国では永明の精液で人工授精が行われ、1頭のオスが誕生するなど、「現在の飼育下で⾃然交配し、繁殖した世界最⾼齢のジャイアントパンダ」として数多くの功績を残しています。
2023年に30歳を迎え、世界で2番目の高齢パンダに。これまでに和歌山県勲功爵の称号を授与、日本動物大賞グランプリを受賞、そして日本初の中日友好特使を拝命しました。
28年に及ぶ日中共同繁殖研究において大きな成果を生む立役者となりました。ジャイアントパンダの保全、継続的な日中共同繁殖研究の計画に基づき、中国へ帰国します。
双子の桜浜・桃浜
「桜浜(おうひん)」「桃浜(とうひん)」は、永明と良浜の子供。8歳の双子の姉妹です。
アドベンチャーワールドで初となるメスの双子として、2014年12月2日に誕生。一般的に双子のパンダは姉の方が小さく生まれますが、桃浜は妹の方が大きく、それぞれ181g、186gと比較的大きく生まれました。
幼い頃はじゃれつき、横並びで、竹を食べる動きがシンクロする姿が見られました。成長に伴いそれぞれに体の特徴が現れ、桜浜は耳が大きく丸顔、桃浜は耳が小さく三角形おにぎりのような輪郭となりました。性格は桜浜がマイペース、桃浜は好奇心旺盛で活発です。桜浜は桃浜が食べている竹を取ったり、桃浜が登り木の高い場所でくつろぐと、その場所を横取りしますが、それを桃浜は全く気にしないといった2頭の関係性がよく表れていました。誕生日などのプレゼントの際も、桜浜はプレゼントより竹を食べることに夢中で、桃浜はプレゼントに興味を示し遊んでくれる様子も見られました。
2頭は大きな怪我や病気もなく成長し、性成熟の年齢に達しました。中国へ旅立ち、パートナーを探し未来の繁殖を目指します。
グッズやフードでも歓送
園内では、3頭の歓送グッズを販売。セレモニー当日も開店前から列ができるほどの人気でした。ジャイアントパンダファミリー7頭のグッズも、今回で見納めとなります。
さらにレストランでは歓送メニューも提供。
園内の各所に3頭を見送るバナーや装飾が施され、みんなで3頭へのお別れと感謝の気持ちを表していました。
引き続き4頭のパンダと会える
3頭が旅立った後も、アドベンチャーワールドでは4頭のジャイアントパンダと会うことができます。
永明のパートナー良浜と、娘の結浜・彩浜・楓浜が、パンダラブで暮らしています。屋外や屋内の運動場で過ごしている姿が見られ、永明が築いた浜ファミリーの姿は、これからもアドベンチャーワールドに笑顔を届けていきます。