劇団ミュOp.5 Musical『Liebe シューマンの愛したひと』が、2026年1月22日(木)~2月1日(日)の期間、恵比寿・エコー劇場にて上演されます。
榊原徹士・伊勢大貴 Wインタビュー
ーー今回のミュージカル、お二人はダブルキャストなんですよね。
榊原)はい。イセダイと僕がダブルキャストで2チームに分かれての公演ですね。昨日ちょうどビジュアル撮影したとこだから、なんとなくこういう衣装を着てやるんや、みたいなところまでは来ました。
(お互いにスマホを取り出し)
伊勢)パンツとかジャケットの大きさが違うだけで。確かに全く同じだね。
榊原)でも俺、靴下だけなんかシマシマやったけど。
伊勢)シマシマ?え?俺その靴下用意されてなかったんだけど。
榊原)いや俺ね、靴下用意されてたとかじゃなくて、たまたま昨日クリスマスだったじゃない?そのビジュアル撮影日にクリスマスの格好してっただけだから。たまたまチェック柄履いてたら「あ、チェック柄いいですね」ってなってそのまま、おいー!って(笑)
ーーでも確かに違和感ないです。衣装と共に世界観もこう共有されてる感じですか。
榊原・伊勢)はい。
ーー今回のストーリー、どこまで話していいかはあると思うんですが。
伊勢)全部話していいんです。再演ものなので大丈夫。ほぼ全て言い切っちゃっても良いんですよね。楽曲も制作さん自体が出してるものが多いんで。あんまり無いからそういうの、びっくりですけど。
ーー自分なりに把握して観に来てもらうわけですから、再現度や演者さんのアレンジを楽しめますね。
榊原)そうですね。再現度はあれども、新しい楽曲みたいなものもあるので、多分それは出さないとは思うんですけど、それ以外のものは基本全部、ね?
伊勢)うん、出しちゃってOK。
榊原)だって昨日撮ったビジュアルを昨日に出してますから(笑)
ーーなかなかそのスピード感はないですよ。今回のお二人の役柄は?
榊原)一人の女性に対してずっと「好きだよ、好きだよ」って人生通して言ってるみたいな人ですよね。
伊勢)そうですね。クララ・シューマンっていうのが、最終的にお嫁さんになる人なんですけど、その人との出会いから最後の結末までというか、そのクララの人生が終わるまでを描いたお話です。
ーー愛した人の人生を追いかける感じなんですね。
伊勢)そこにいろいろ、ブラームスだったりとか歴史によく登場する人物が関わってきて、リスト、ショパンとかも。そういう音楽好きの人、特にクラシック好きの人たちからしたら、『このキャラクターはこういう解釈なんだ』っていう驚きや発見があると思いますね。
ーー今回、生歌なんですよね?
榊原)マイクとか無く、しかもピアノとバイオリンだけです。
伊勢)役者が丸裸な状態に近いと思うんですよ。マイクがなくて特殊な衣装もなければ、特殊な造形もなくて、ピアノとバイオリンと人間の声だけっていう、本当にすごいシンプルなもので作り上げられている。ミュージカルなのにヘッドセットが無いっていう、お客さんともう生身でぶつかっていく体験っていうのはここ最近減ってきたと思うんですよね。
ーー舞台の世界もテクノロジーの進化の波がスゴイです。
伊勢)例えばプロジェクションマッピングで状況変化だったりとか、お客さんの想像力を補填してくれるものが多いですよね。ひと昔前に近い形ではあるんですけど、お客さん自身の頭も使ってもらう。だからこそ刺激的なんじゃないかなって思います。会場も恵比寿のエコー劇場で、息遣いもダイレクトに届く距離感だし、普段の舞台よりもう二つ分ぐらい距離感が近いので、ほんとにミュージカルをリアルに体験が出来ると思います。
榊原)楽曲にはラップもありますから。しかも「ラップの人ウマっ!」ってなります(笑)
ーーラッパーさんが出演を?
榊原)多分普通にミュージカルとかお歌を歌われてる方なんですけど、「上手いな~、ラップが!」と思って。なんか最近のラップだなって感じです。あの~、HANAとか。ああいうなんかこう、拍でダシダシダシなって、その拍の間になんかこう詰める系というか、ギューッって強弱つけてラップするんで、「おお!上手っ!」って。
ーー若い世代のラッパーですね。
榊原)若いです。だからクラシックだけじゃなくて、最近の音楽も取り入れてるなぁとは思いつつ。僕もやりたかったです、むしろ。一番怖えんだ、歌が(笑)
伊勢)周りがやっぱ本当に上手い人たち、クラシカルな人たちばっかりなんですよね。本当にゴリゴリのミュージカル出身みたいな人とか、声楽科出身の大学院生とか、そういう人もいたりするんです(汗)
ーーある意味悪いキャスティングですね(笑)
榊原)そうっすよ(笑)
伊勢)でも出どころが全く違うから、化学反応が起きたら相当スゴイことになるなっていう、ポジティブな捉え方でいますけどね。
榊原)ねえ、歌ってさ、「歌う」を意識してやってる?
伊勢)まさか!やっぱりエンタメメインとお芝居メインとでは全然違う作り方するんですけど、これガッツリエンタメ要素「じゃない方」なんで。お芝居でやる方だから、だから俺はセリフで良いと思ってやってる。
榊原)ああ、なるほどね。いや、だって一回稽古中にガイドを流しつつ、その楽曲の段取りをするみたいな稽古があった時に、イセダイはセリフで言ってたんですよ。
伊勢)ああ、やってたね。
榊原)言葉で言ってて。ほえー、そんなの俺初めて見たなと思って。
伊勢)僕のボイトレの先生から「いっぱいセリフで喋った方がいい、その方が上手くなる」って言われたからなんですよね。でも現実そうだよなと思って。考え方としてセリフのたぎったものが音楽になるっていう。感情のピークにコードが乗って、メロディーがあって、拍があって、基本ミュージカルはそう作られてるんです。今回はゴリゴリの芝居だから、てか僕たちが担ってるパートがどっちかというと芝居メインだから。エンタメ要素はそれこそショパンとかリストとかそっち系の人たちがやってくれてる部分なんで。セリフでやった方がまずは良いだろうという。
榊原)僕らのロベルトって役は、クララという女性の人生を描いた物語において、クララにとんでもない影響を与え続ける人。良くも悪くもなんですけど、与え続けなきゃいけない以上、むっちゃお芝居せなあかんのですよね。エンタメしてる余裕があんま無いというか。エンタメする要素はあるにしても2割ぐらい、8割ぐらいがクララという人の環境を変えることによって依存を起こすというか。
ーー僕らお客さん感覚で言うと、エンタメのステージはお客さんに向けてこうやる感じ。今回の芝居はそれをクララにどんどん振ってく、という?
伊勢)僕らは特にそうですね。みんなが本当にクララに向かっていく構図ではあるんですけど、特に近いところにいるっていうね。副題が「シューマンの愛した人」ですからね。
榊原)要は俺らってことです。あと、死にます(笑)
ーー言っちゃう(笑)。お客さんが置いてかれるぐらいの方が面白いかも知れませんね。
榊原)確かに。観てる人がクララに感情移入している状態であれば、置いてかれることなく一番行けると思うんで。他の人に振ったりすると置いてかれる可能性があるかな。
伊勢)あんまりクララ以外に感情移入するような構造になってないかもしれないね、もしかしたら。あるとしたらブラームスぐらいかもね。
榊原) クララのお父さんでヴィークという役柄がいるんですけど、まああれです、映画「セッション」のあの厳しい監督やと思ったらいいです。
ーーああ、嫌ですね…(汗)
榊原)ズタダダダ、まだだ!(怒)とか言ってるあれです。もうあのまんまです。時代錯誤もいいとこだみたいな。
伊勢)当時はそれが普通だったという。
榊原)で、今日かな?本当に全員でちゃんとできるのが。年末年始なんでお忙しい方もいらっしゃるし、歯抜け状態だったものが今回合流してくださって。2チームあって僕はシャープチームっていうんですけど、シャープチームの方である程度土台を作りー、みたいな。こっちの方がキャスト揃う人数が多かったんで、イセダイのいるフラットチームが皆さん今日改めてボンみたいな。
伊勢)ヴィークがやっと今日合流っていう。
榊原)あの、稽古が合同なんですよ。イセダイがこうやるから、俺こうやろうかなとか思いながら見てるんで。だいたい最初にやった人を見て、じゃあこう変えるか~とか、ここはこうした方がいいか~みたいな。それは多分演出さんが見た時にどっちがいいとか、目線の幅を広げるためにやるんですけど。とりあえず違うことをずっとやった方が稽古としては面白いし、ダブルチームの意味があるしみたいな。
伊勢)この現場は2チーム合同なんですけど、だからってね、別になんか敵対することもないですよ(笑)
ーー対決ではないですもんね(笑)。でも片方のチームの稽古を見て、アレンジしてというのは良い刺激になりますね。
伊勢)引っかかるポイントがやっぱり違うから、ですね。例えば“クララに向かって歩く”だけでも、速度が違うだけで見え方が違うんです。僕がヨタヨタ行くところをてっちゃんはスタスタ行ったりとか。それだけで全然意味合いも変わってくるので。なんかそこがやっぱり役者って本当に面白いなって思うところですね。
ーー歩く速度で感情を表現する、言われてみたらスゴイ納得感
伊勢)見え方が全然違うと思いますよ。ちょっと駆け寄ったらなんか行きたくてたまらない人だけど、普通に歩いてたらそんなに感情というかゼロに近い、とかそういうなんか面白いですよね、見てて。
ーーこれは二チームを見比べてほしいですね。
お二人)そうなんですよ!めっちゃ楽しいと思うんですよ。
榊原)今のところ、自分の芝居感とか全体の調和感とか理解しつつやってるイメージがあるんです。これから良い意味で我が出るフェーズに入るんです。我が出た方が良いんですよ、僕の中では。なんでかっていうと、みんながクララに影響を与えなきゃいけないんで、「いや、それちょっと違いますよ」「でも僕はこうやりたいんです」チーム内でギスギスしてもやろうっつって。実際本番始まったらクララは両チーム違う役者さんなので、どこでしょんぼりしたりとか、魂抜けるような顔をするのか分からないですし、どんどんやっていきたい。
伊勢)まだ流れはついてるわけじゃないから、現段階では部品作りみたいな感じですよね。楽しみです。受け手も違うわけで、見え方も全然違うと思いますよ(笑)
ーーその話聞くと俄然二チーム観たいですね!
榊原)なんて言うんですかね、そもそもクララ役の受け止め方がお二人で違うので、こうスーッと流れるように受け止めるタイプと、一回バチンって受け止めてから自分で動き出すタイプというか。
伊勢)しおちゃん(希水しお)はどっちかっていうと受け止めてからって感じのイメージあるな。
榊原)自分で理解する、で、動く。もう片方の青野沙帆さんは受け止めながら動いてる。
伊勢)うん、みたいな感覚ある。そこら辺、お芝居の相性なんだなって思いますね。オモロい。本能とロジックっていうか感覚が全然違うんだろうなと思いましたね。どっちかというと、僕がいるフラットチームの方が本能型に近い気もしないでもないけど。割となんか場当たり的に出てきたことで何かが起きていく感じは強いですかね。俺はそうやってるけどどう見えてるの?
榊原)例えばフラットチームの人の稽古風景を見ていると、みんながこう自分という軸をみんなにプレゼンしているような感じ。
伊勢)ああ~、でもそれはわかる!すごくそう思う!
榊原)「僕はこういうお芝居を得意としています。なので、皆様どう受け止めていただけるでしょうか」っていう感じに見える。で、みんながそれを「お~、そう来るかね。なら私はこうかな」みたいな感じに見える。役者目線で喋るとそれが溶け込んだ時が、まあとんでもない、序盤に言った化学反応が起きるので、俺はもっと好き勝手やって欲しいんですよ、見てる側としてはね。シャープチームの方はどう見えてるのかな?
伊勢)先に作ってくれてるっていうのもあって、安定感が出てきてますよね。このシーンの色みたいなものが結構はっきりしてるから「あ、ここ目指せばいいのね」って思える感じ。一個の指標になってくれてるから、こっちはすごくやりやすい。僕が合流が遅れたからなんですけど『あ、このシーンはこういう毛色なのね。岡本さん(作・作詞・演出:岡本貴也)がアレンジしたからこうなってるんだ。ふむふむ』って。役者さん達がこういうシーンにしたいっていう空気感があるというか。すごくチームとして出来上がりが早いから、スクラップアンドビルドって言うんですか、崩すのも楽だろうなと思うんですよね。
ーーそれぞれで全然意見が違うので面白いです。
伊勢)物語は絶対一緒だし、届けなきゃいけないキーポイントみたいなものは絶対に間違いないと思うんですけど、届き方が違うのは楽しんでほしいなと思いますね。
ーー監督というか演出の方は当然同じなんですよね?
伊勢)はい、一緒です。
榊原)物語の結末とか全部一緒なので、中で役者が何か本能的に作るかみたいな、瞬間的火力が割と大切になると思うんですよね。ベースがいくら一緒とはいえ、だってもう今お互いに言ってること違うから(笑)
伊勢)びっくりだよね(笑)
榊原)俺らは枠を作った、こっちは軸を作った。みたいなね。
伊勢)こういう作り方が正しいかどうかわからないけど、面白いですよね。あとなんたって曲が良いです!ミュージカルですから!鎌田さん(音楽:鎌田雅人)は僕二回目なんですけど、昔、李香蘭(2023年1月)っていうミュージカルで一緒で。
榊原)俺はこの劇団ミュさんの堕落(チュラク:2024年10月)っていう作品で一緒だったんだけど、実は吉本にいた時にエンプティステージ(2023年8月)っていうスタンダップコメディがあって、台本ゼロ、与えられたお題だけでいきなりミュージカルします、みたいな時にいたのが鎌田さん。
伊勢)あ、そんなことがあったんだ!
榊原)お題だけ頂いて、鎌田さんが音楽弾いてみたいな。四分か五分ぐらいこうやってアドリブだけでひたすら。ギター弾いて、パーカス鳴らして、ピアノ弾いてみたいな。なんだこれ!?みたいな方です。
伊勢)とにかくキャッチーなメロディが多いです。なんかずっと残っちゃうなみたいな。だけど、音符っていうかメロディ自体が言葉にすごく近いように作ってくれてるから、それに従ってれば感情がちゃんと表現できるようになってるんですよ。
榊原)へえ~、そうなんや。
ーーそこにはメカニズムが内蔵されてる!
伊勢)実はこれも歌の先生と一緒に紐解いてて分かったことなんです。ここって絶対ピッチは間違いなく、テンポもこのままやっとかないと大変になっちゃうからとか。「こういう仕掛けがここに来てるのね」みたいなのがすごい散りばめられてて。俺たちがやりやすいように、こっちが無駄に感情のジャンプを頑張らなくてもいい楽曲になってるから、お客さんも絶対聴きやすいはずなんですよ。
榊原)へえ~、そうなんや(再び感心)
伊勢)楽曲の数は多いし、一個一個がちゃんと粒立った力を持った曲たちなんです。もちろんシーンも違うし人も違う。今日これから稽古するやつとかはね、ちょっとだけメドレーっぽい感じにもなってる。中盤で美味しいところをつまんで喧嘩をするシーンがあるんです。これは鎌田節じゃないけど、そういう楽しみがあるなと。
榊原)僕らは今音源で稽古をしてるんですけど、後半になると実際のピアノが入るのと、バイオリニストさんが入るんです。俺、バイオリンでやったことないから「なんだこれ?」ってなりそう(笑)。バイオリンの音なんて普段生で聞かないじゃないですか。だから贅沢ではあると思うんですよね。
伊勢)意外と音おっきく感じるかもね。
榊原)あと、フレット無いしね。ギターみたいに押さえるところ、確定されてるところが無いんですよね、バイオリンって。奏者の人の感覚で全部覚えるんですよ、音を。
ーーお二人の芝居を感じながら奏者の方自身がテンション変わってくると、違う曲に聞こえるかもしれないですね。
伊勢)多分歌ってる人に全部合わせてくださると思うんです。
ーーおお、むしろ合わせにいく演奏!
榊原)『この人今日こんな感じだな』ってちゃんと理解してくれるんですよね。前回「堕落」の時は、こんぐらい間を開けるみたいなのを自然にやっちゃってて、急にスコンって静かになってパーンみたいなのを。勝手にやったんですけど合わせてくれてるんですよ!『ありがてえ~』って思いながらやってました。
伊勢)何が一番問題かって、パーカスが無いことなんです(笑)。僕たちで言ったら心拍数と一緒なんですよ。本来はそれがあるとめっちゃやりやすいんですけど、楽曲もピアノのベースラインがリズムになってるんです。結構ピアノの人は大変だなって思います。僕たちもどっちかというと左手の音は絶対聴きながらこうやっておかなきゃいけない。だけど、それに惑わされる時もたまにある。
榊原)へえ~(三度感心)
伊勢)意外とこう、 一、二、三、四をずっと聴いてないといけない。テンテレンテレンって促進させる音なんですけど、その音だけ聴いてると結構つんのめっちゃうから、一、二、三、四をちゃんと心の中に入れないとみたいな。僕はツッコミ癖があるから、特に戦隊歌ってたのもあって気をつけないとなっていう(笑)
榊原)ほえ~(四度感心)
ーー歌ってる人だからこそのお話ですね。
伊勢)それこそラップとかも絶対パーカスあったらね、縦とか取りやすいと思う。
榊原)あ、それはそうかも。
伊勢)僕らが最初に歌う楽曲とかは青年の頃の晴れやかなロベルト・シューマン。その時とかやっぱ明るい曲なんですけど、そういう時にこうちょっと手綱を引いておかないとこぼれちゃったり、つんのめっちゃったりとかするっていうのもあるんです。
榊原)リズムを崩さないために、ピアノのベースコードをちゃんと聴かなければいけない。その理論はわかるけど、俺はできないんだよね(笑)
伊勢)いや、でもこれ結構訓練しないと出来ないんだよ。僕もピアノだけを聞いてこのテンポでこうかなって楽譜と照らし合わせて理解しようとはしてる。難しいけど。
榊原)まず楽譜読めるだけスゴイと思ってるよ。俺、楽譜読めないからもう全部諦めちゃってる(笑)。イセダイの方のフラットチームの長谷川開さん。ブラームス役をやられてるんですけど、まあ~歌うまいんですよ。
伊勢)開さん、素晴らしい!声も良いし。
榊原)訳わからんぐらい歌上手くて。その方が稽古中に「その拍が百二十っていうリズム感、テンポ感が変わってリットしてー」って言われた時に俺「あれ?何言ってんだろう?」ってハテナになっちゃって。周りのみんながうんうんって納得してるんですけど「ああ、分からん。みんなすごいね、理解してるのね」と思って。
伊勢)そうかそうか。俺たちで言ったら、コメディで・・・があった後にちゃんとボケなきゃいけないですよね、みたいなこと。それと一緒。
榊原)「今の空気、ちゃちゃ入れた方がいいよね」とか多分そんな感じ?
伊勢)僕たちは楽譜、台本からこうフリとオチをちゃんと見極めるんですけど、フリがあって話の本質があって入口と出口でこう違いますよって楽譜に書かれてることを、僕らよりすごい解像度で理解されてる方がいるって感じです。
ーー楽譜から感じて、展開しましょうという。
榊原)みんなそんなこと頭に入れながら歌ってる方がすげえって思いました。俺その時々の感覚でずっとやってるんです(汗)ってなりますもん。
伊勢)でもね、てっちゃんみたいな人でないと出来ない音ってやっぱあるから。僕はそんなガチガチではないけど、理論に乗っ取ってやった方がよく届くって思う。でもその発想じゃないところに行く時があるから「あ、それすごいよ!」って思うことあるし。元々持ってるキーも違うから、僕はどっちかというと低いから下がふくよかに出るけど、てっちゃんはもう上の方がピコンって出るから「あら素敵」ってやっぱなるよ。
ーー確かにピコーンって出ますね(笑)
伊勢)まあでもね、役者さんの理解度とか年齢も全然違ったりするし、持ってるキャラも違うんで、逆にこんだけ違うのにこんなに一緒になるんだってところあるかもしれないですね。やっぱりここは苦しいんだとか楽しいんだとか。
榊原)みんな一人一人の人が解像度高めにやってくれてるから、何をしてるかが見えやすいというか。そのアプローチがただただ違うだけで、今それが上手くかみ合っている状態というか。ここから、みんながこう来るからじゃあこれはっていうのが、僕は楽しみなんですけど、一番。
ーーなんかもっとノリでやってる感じを想像してました。舞台ってそんなイメージが。
榊原)割とね、割と綿密なんですよね。この空気感やったらこうした方がいいかなみたいなのが肌感で出てくるというか。本番が割と多いよね。ちょっと今この空気感あかんかもしれないなとか。
伊勢)綿密でもあるしお客さんのライブ感もありますし。特にあと僕らのちょっと面白いところの一つとしては、薬物をやるんですよ。
ーーあの、カミングアウトは別のところで…(汗)
伊勢)いやいやいやいや(笑)、ロベルト・シューマン自体がアヘンをやってたっていうのがあって。
ーー安心しました!続きをどうぞ!
伊勢)そこの表現の仕方も僕ら全然違うんですよ。それは多分見えてるもの自体も多分違うし、出し方も違うし、これは多分その精神的な異常者とかを見てきた。例えばそのね、同じジョーカーをやってもヒース・レジャーとホアキン・フェニックスは違うっていうのと一緒で、悲しさの部分とか何が怖くてアヘンを手に取ったんだみたいな部分から違うんじゃねえかって俺は睨んでいて。
榊原)ふ~ん。いや~、そこまで意識してないです、全然。俺そこまでイセダイみたいにロジカルに喋れないです。
ーーアヘン、なぜこれを手に取ったか考察していくと。
伊勢)しょっぱなのしょっぱな、初期衝動は描かれてないから。そこのとらえ方は二人で違うんじゃないかなって思ってて。上手くいかなくて手に取ったのか、上手くいって嬉しいって時に仲間から手渡されてハマっちゃったのか、全然違うじゃないですか。僕は悲しい方で取ってはいるけど。そういうのもあったりするんじゃねえかと。
榊原)イイじゃ~ん。
伊勢)そして「愛」ですよね、結局。
榊原)タイトルですからね。「Liebe(リーベ)」自体がそうだし。
伊勢)お客さんの中にちゃんとね、愛ってものがどう芽生えるのか、再認識するでもいいですし。最初は普通に恋愛とか恋い焦がれるとかもあるけど、家族愛ももちろん入ってくるし、自己愛をちゃんと持ってるキャラクターもいるし、音楽に対しての愛だったりとか。それこそね、ヴィークから子供に、クララに対する執着なのか愛なのか、メッセージとしてキャラクターが持たなきゃいけない使命がそこにあると思うし。クララ自体も子供が生まれて母親としての愛の形とか、いろんな角度の愛があると思うので、そこを楽しんでいただけたらいいんじゃないかなと思います。
榊原)俺はもうクララという人をただただ皆さんが愛してほしいと思ってやってるんで、お客さんが最後までね。多分もう色々あると思いますよ。 ほんとムカつくこともあると思うんですけど、全然。
伊勢)特に俺たちの言動はね(笑)
榊原)僕はロベルトという人物がお客様から嫌われたらめちゃめちゃありがたいと思ってるんです。なんでかっていうと「与える人」だから、ヘイトを買うのは当たり前なんですよ。ヘイトを集め続けられたら全う出来てるなと思うし、そこまで生き切れたんだったらマジ嬉しい。SNSとかで「あんな男が今のこの令和にいたら最悪」とか「結局、女性は脆い男に弱い」とか書かれてたら、すごい届いているし響いていると思えるので嬉しい。それは多分ヴィークも、クララのお父さんを演じているお二方にもそう思っていただけたら嬉しいです。今回、男は嫌われてなんぼやなと思ってね。
ーー面白いですね。お客さんがどんな種類の愛を感じるのか。
伊勢)いや~、それすごい楽しみなんですよ。昔、とある舞台を観た後に、俺も誰かに愛を届けたい!電話したい!って思った経験があったんで「そうしてえ!」って思ってもらえると嬉しいですね。
榊原)確かにそれはそうかも。物語全部観て「うわ、言えるうちに言っとかんと!」って動いてくれたら。わざわざ会いに行くとかわざわざ手紙書いてみようとか。デジタルであってもひと手間加えるとか。相手は言われて驚きはするやろうけど、まあ嬉しいに決まってるもんね。
伊勢)愛について触発されて、愛に向かう道のりであってほしいというか。そんなロマンチックなことを思っちゃう。でもそういうのって良いですよね。だから演劇ってあると思うし。作品の届けたいテーマを考えて出てって欲しいし、そう思ってます。
榊原)あと改めて、今回生歌なんです!マジで歌上手い人のマイクなしで聞ける機会なんて無いですから。こんなのほんとに無いですからマジで貴重です!
劇団ミュOp.5 Musical
『Liebe シューマンの愛したひと』
日程:2026年1月22日(木)~2月1日(日)
会場:恵比寿・エコー劇場
作・演出:岡本貴也
音楽:鎌田雅人
振付:富田彩
演奏:ピアノ 植村カンナ
出演♭(フラット)チーム
青野紗穂
伊勢大貴/長谷川開/梅田彩佳
音くり寿/村上貴亮/磯部杏莉/下野由貴/渡辺七海/常川藍里/橋本茉子/梅谷心愛/森田陽大
今拓哉
出演♯(シャープ)チーム
希水しお
榊原徹士/磯野大/山本咲希
社家あや乃/馬越琢己/宮下舞花/夏葉ことり/師田実澪/谷怜由/入江うり/岩本ひなた/山﨑由晏
KENTARO


2026年1月9日 



