NBAバレエ団公演『ロミオとジュリエット』が、東京芸術劇場 プレイハウスにて、2026年2月28日(土)・3月1日(日)に公演されます。
ロマンティックバレエ「ロミオとジュリエット」の稽古場を、バレエ経験のあるモデルの相沢菜々子さんが訪問。ロミオ役の新井悠汰さんとジュリエット役の山田佳歩さんとの対談を行いました。
ーー新井さんはサッカーやってたんですよね。
新井)はい、やってました。小学三年から六年まで。
相沢)だからボール蹴ってるんですね、そのTシャツ(笑)
新井)ふふふ、元々母がバレエやってたんです。通ってた教室の助教を、教える側の方で。踊ってたりもしてたんですけど、そこに小さい時に連れられて、知らないうちに始めてました。
相沢)知らぬ間に「これが日常だ」と。
ーーずっと続けたってことはどこかで魅力を感じたわけで。
新井)中学入る前にコンクールに出た時、スタジオからいっぱい出た中で僕は落ちちゃって。超悔しい思いをしたんです。同世代もすごい刺激のある子たちばっかりだったので、自分も負けてられない、絶対上手になりたいと思って。そこでスイッチが入りました(グッ)
相沢)これ簡単に言ってますけど、全然簡単じゃないですからね。バレエをずっと継続するってとんでもないことですから、ホントに(熱く)
ーー悔しさキッカケだったんですね。
新井)悔しいっていうのもあったんですけど、やっぱり海外の人の踊りとか、その頃テレビでやってたりとか、動画見たりとか。海外の人や国内の方も見て、いずれこういう舞台に立ってみたいな、みたいな。バレエダンサーのプロとしてお客さんの前で踊りたいと思いました。
相沢)演目の憧れとかは何かあったんですか。
新井)何より踊るのが楽しかったので当時これっていうのは無かったんです。今はそれこそ「海賊」だとアリとか、コンラッドも踊らせていただいたんですけど、「ドンキホーテ」だとバジル。で、一番踊りたかったのは今回の踊り(ロミオとジュリエット)です。
相沢)いい言葉聞けました!(ポスターを見ながら)「駆け抜ける恋」「止まらない運命」って書いてある。イイですね~。
新井)バレエ団としても久しぶりの芸劇(東京芸術劇場)なので、それも楽しみですね。
相沢)去年もロミオとジュリエットを題材にした舞台とかありましたし、注目度高そうな気がします。山田さんは出演が決まった時どう思いました?
山田)私も小さい時からジュリエットっていう役にすごく憧れていました。あの、アレッサンドラ・フェリさんっていうダンサーのジュリエットを小学校高学年くらいの時に見て、それに憧れて『これ、いつか大きくなったらやりたいな』ってずっと思ってたんです。だから決まった時はすごく嬉しかったです。だけど、それと同時に、すごく重たい作品でもあるので、そのプレッシャーも今の自分にあれだけのものを演じ切れるのかっていうプレッシャーはありました。
相沢)こういう題材だともう名だたる猛者たちがやってますからね。それをやるっていうのはすごく憧れるけど、怖いのはめっちゃわかります。なんか「東京ドームでライブ決まった」みたいな。気持ち的に(笑)
ーー山田さんは二年前にここでお会いした時と比べて、自信がある感じがします。
山田)ほんとですか?
相沢)それこそオーラだ。確かに、研鑽というか積み重ねたものって、立ってる時にパアっと目引いてしまう。凄く華があるお二方だなと思いました。
山田)ありがとうございます(笑)
ーー立ち姿に出るんですね、そういうの。
相沢)うう、そういう点ではやばいですね(汗)
新井)(山田さんの方を見ながら)日々めちゃめちゃ考えてるんです。僕も尊敬する部分でもあるし、見習わないといけないなっていうところですね。
山田)たまに考えすぎて、オーバーになっちゃう時もあります。今回の役はそうなることが多かったです。今は自分の中に役柄が落ちてきてだいぶ良いんですけど、他の役柄よりも落とし込むまでに時間がかかるし、その間にどんどん自信が無くなって『これでいいのかな?ほんとにいいのかな?どうしたらいいんだろう?』ってもうずっとです。まだ自分のものに仕切れてないので、残りのこの期間でもっと仕上げていきたいです。
相沢)さっきパ・ド・ドゥを見せていただいて、なんかパッって咲くような感じでした!どうしてもジャンプとか、リフトとかすごく派手だから目を引くんですけど、その前後の所作というか、流れがすごく綺麗だし。そこでも表情とか、ね!あ~、見入っちゃうって。世界観がなんかスノードームに収めてる感じ! ※その感じは文末のおまけにて!
ーーそれ、物凄く言い当ててます!
相沢)舞台とか声優とか、グラビアで撮ってもらうとかそれぞれ表現するって形はあるんです。でも芸術に従事するじゃないですけど、ずっと触れてらっしゃる、ずっと中にいらっしゃる方っていうのはまた違います。
ーーつい最近声優として出演されたので余計に感じるでしょう。
相沢)感じますね。ここまで積み上げてきたものとか日々の努力とか。やっぱバレエきついから。でも全然それ感じさせないじゃないですか、終わるまで。例えばセリフがあると、「(近くで)誰?」と「(遠くへ)誰!?」で表現が変わるじゃないですか。でもセリフ無しで表現するわけで。
新井)実は「セリフ言いながらやって欲しい」ってリクエストされたことあります(笑)
相沢)でも声のトーンだったり物理的な距離感だったり心の距離感とか、そういうのが無音だけど伝わる空間って確かに面白いなって思いながら見てました。めっちゃ可愛かった。
ーー喋れない中で表現する方法とは。
新井)そうですね、目線だったり、手の出し方だったり、動きだったり、その言葉を身体でしっかり表現するっていう。
山田)間の取り方だったりも。あと音を取らなきゃいけない。やっぱり音と演技がズレていくとお客さんの心に届かなくなっちゃう。音に合わせつつ、その音の間も気にしながら、自分の演技に繋げていく。プラス、その演技に自分なりのセリフをつけて、考えなくても最終的にはそれをできる状態で舞台に持っていく。考えちゃうと我に返っちゃうので。
新井)(うんうんと深く頷く)
山田)最後のシーンの死ぬところ?とかで急に『ここで1、2って数えて…』と間を気にしだすとそっちに気が取られちゃう。ホントにちょっとした差なんですけど、お客さんにも伝わってしまうんです。
新井)(再びうんうん)
山田)感情を本番までに持っていく。身体でその間を覚える。覚えた上でそこに更に感情を乗せていく。ちょっと難しいことを自分で言ってるなって思ったんですけど、実際に自分がジュリエットの間になっていく感覚があるんです。
ーー感情が先なのか、振り付けが先なのか、どっちから入ってくものなんでしょう?
新井)僕は感情が先に出てしまう…かな。
山田)リハーサルの最初は振りが先。いろんな人の動画や過去に踊った方の動画を見て、『あ、こういうやり方もあるんだ』とか考えながら振りを入れて。そこから感情をどんどん入れていく感じです。
相沢)肉付けの仕方が違うっていうのも面白いですよね。制限された中だからこその。我々アニメだと絵とセリフに音楽とかが付いて、バレエは身体と音楽と間みたいな。表現っていうところではちょっと別軸だけど、なんか使えるカードが違うだけで。面白いですね。
ーーあの、バレエって正解が無い感じがしてるんです。
新井)無いです、無い(苦笑)
山田)やっぱり自分で作っていかないと、今回2キャストあるんですけど、2人とも同じように演じてしまったら、多分見に来ているお客さんもそれじゃつまらないと思います。なので、その人その人の演じるジュリエットだったり、ロミオがあるから、お客さんも『あ、この人のジュリエット見たいな。あの人のロミオ見てみたいな』ってなると思うので、そこを自分たちで作り上げてく。
相沢)ダブルキャストとかがある意味っていうのは、やっぱり我々も考えますし、自分にしかできない自分である意味があるっていうのは考えますよね。
ーー舞台もダブルキャスト多いですもんね。
相沢)まあ生々しい話を言うとチケットの売れ行きとかも気になりますよ、こちらとしては。どっちがどっちで『あ、この日…』みたいなときありますからね、本当に(笑)
相沢)こういう対談はいわば異種対談じゃないですか。一種の化学反応を楽しむっていうか、企画としてすごい面白いなって思います。私のバレエは十年前の化石みたいな記憶でしかないんで、それこそ「レースクイーンはハイレグ」みたいなイメージがまだ残ってるのと同様に、私たちが知らないバレエの常識が出来てるのかもしれない。すごく面白いです、こうやって(対談して)温度を感じるっていうのは。
ーー僕なんかはあんまり男性側が目立っちゃいけないみたいなイメージがあるんです。特にロミオとジュリエットだと。
新井)僕が考えてるのは、パ・ド・ドゥで二人で踊る時は、如何に女性が綺麗に見えるか、そこで自分も綺麗な形で踊れるのが一番いいのかなって。個人のところではテクニックもそうですが、表現でお客さんの心を掴めるように意識して踊っています。
ーー楽しいのをこうワーッて出すのはやりやすいと思うんですけど、悲しみを表現するってなかなか難しいんじゃないかなと。
新井)僕は悲しみの方が得意です!
山田)そうなんだ~。
相沢)じゃあ、仮死状態のところとかも。いやめっちゃ観たいっす!
山田)観に来てほしいです!
新井)自然と涙も出てくるし。感情、もし自分の現実にこういうことがあったらって考えると、すごい悲しいし切ないしっていう。演技というか素直に表現が出てきます。だから涙だったりも出てきてます。
相沢)良い話聞いてます!山田さんはどっちが得意かというと?
山田)私も悲劇の方が。性格上あんまりワイワイする感じじゃないので、逆に楽しい役だったり、明るい役の方が自分の中では大変。出してるつもりなのに全然足りないよってなっちゃうので、これ以上どう出せばいいんだろうってなっちゃう。
相沢)ワイワイしない性格(笑)
新井)楽しい表現ってなると、いろいろ分散されちゃうんですよね。
相沢)ははは、計画的な楽しいは難しい!
新井)盛り上がってはいるんですけど、いろんな感情が生まれてきちゃって。今自分はどういう感情なんだろうっていう。「楽しい!」であっても僕の中でいろいろ出てきちゃって。ワイワイ系なのか、ウェ~イ系なのか、みたいな(笑)
ーーう~ん、板の上でウェ~イはイヤです(笑)
相沢)バランスもありますからね。個々がすごく良くても、やっぱり作品として見た時にちょっと尖りすぎてると、やっぱり二人の、それこそロミオとジュリエットって名前にも題名にもなるぐらいの二人だから、その世界観だとか。え~、すごく観てほしい、みんなに。
新井)ぜひ観に来てください。
相沢)みんな、なかなかバレエ見ないじゃないですか。どこからがいいんですかね?その入口って。私もレースクイーンとかだったんで、モータースポーツ、なんか車っていうのもやっぱ敷居高いじゃないですか。メカに詳しくないとダメそうだし、ルールもよく分かんないけど、みたいな。基本的に走って一位だったら一位なんで、シンプルなのになんかこねくり回してあんまり見れないみたいな人が多いってところがあるんですよ。バレエも実は分かりやすいじゃないですか。音楽があって、踊ってみたいな。で、なんとなく『この人とこの人はこういう関係なんだな』ってだけで良いんだけど、なんかハードルが高いっていうのはすごくもったいないなと思います。
山田)それこそイヤホンガイドとかでね。
相沢)お!そうなんですね。良いタイミングだ!
山田)バレエがわからない、初めての人や、物語が理解できなさそうだなって思う人でも、イヤホンガイドで物語を楽しめるように解説があります。
新井)なので今回は世界観がわかりやすくなると思います。
山田)バレエを見たことない人にも本当に観に来てほしいです。
相沢)頼るところ身体しかないですからね、ほぼ。「武器=体だけ」スゴくないですか?
ーーまず爪先立ちだけでもスゴイですし、見たことない人が入りやすいって大事ですね。
相沢)やっぱ圧倒されますよ。『同じ体のはずなのになんでここまで』みたいな。どこでどう違ったらこうなってしまったんだ、みたいなところはあります。
ーー新井さん、背中すごいですもんね、背筋。ちっちゃい子が登れるぐらいボコボコです。
相沢)ええ!?ホントですか?見たいとか言っちゃいますよ(ニヤリ)
新井)ぐふふ(苦笑いでググったら出てきそうな困った顔)
山田)えい!(迷ってる新井さんのシャツをめくる)
相沢)ええっ、すご!ラクダ筋だ!あの、バレエって可動域をキープして筋肉使わなきゃいけないから、普通の筋トレとは訳が違うんですよ!
新井)(背中丸出しで体をひねりながら)使うのはインナーマッスルなんです。中の筋肉っていうか、プランクとか体幹トレーニングをずっとやってたら付いちゃって(笑)。例えばウェイトをぐんぐんやっちゃうと、体のバランスというか、外の筋肉で頑張るようになって、首が短く見えたり手も短く見えちゃったりするので。
相沢)鎧着てるみたいになっちゃう。だからすごいいいんですよ、バレエ男子って。
新井)それこそ外の筋肉が付き過ぎちゃうと、言ってくださった通り可動域がどんどん無くなっちゃうんです。個人的には動きづらさが出ちゃうので、そういう筋トレはあまりしないので、パートナリングやリフトとか。女性と組む時にちょっと付いていくんですよね。だから女性のリフトで筋トレしてます(笑)
相沢)持ち上げられなきゃいけないっていうのも、なんか心理的ハードルありませんでした?私はリフトの経験ないんでちょっと聞いてみたいです。
山田)え~、どうなんだろう。初めてパ・ド・ドゥをする時はあったんですが、今は楽しく、頼れる男性がいらっしゃるので。身を任せて、今はやってます。
ーー何でしたら女性は持ち上げといた方がいいんですよ。
みんな)あはははは!
相沢)やってて楽しいじゃないですけど、このシーン見てほしいってありますか?
新井)踊りはもちろん、衣装だったり舞台装置だったり、音楽もそうだし、その劇場の空間を楽しんでいただきたいなっていうのはありますね。
相沢)山田さん、気に入ってる衣装とかは?
山田)バルコニーのシーンの衣装です。ポスターで着てるのは寝室の衣装なんですけど、白いジョーゼットの衣装の袖にピロピロがついてるんです(笑)。それが気に入っています。ですが、一番大変なボールルームでパリスっていう人と踊った後に、ジュリエットがバリエーション(ソロ)を踊って、すぐにロミオとパ・ド・ドゥをして、、、一分ぐらいで早替えをして、すぐバルコニーに出て7、8分、パ・ド・ドゥがあるんです。死にそう(笑)
相沢)痩せちゃう!
山田)演じる時はそれを出さないように、すごいニコニコしてやってるんですけど、終わった後は毎回死んでます(苦笑)
新井)多分楽しんでるの僕だけですよ(笑)
相沢)え、水飲める回数とかあります?なんか袖に取りに行けるじゃないですけど。
山田)バリエーション後の、ロミオのパ・ド・ドゥとの間は飲めます。
相沢)なんか裏側聞いちゃうんですけど、そういうの面白いですよね。そのしんどい中でやってるって考えて観ても面白いですし、穿った観方かもしれないですけど。なんかそういうことが出来る人たちなんだっていうのが結構熱いですよね。
ーーアスリートですね。水を我慢する昭和のアスリート(笑)
相沢)1日何キロ痩せますか?
山田)ふふふ、でも結構食べるんです。朝昼は食べないんですけど、1日の仕事が全部終わって帰ってから食べます。
相沢)何が一番好きですか?
山田)なんだろう。この冬はあれです。セイロ蒸しとか。
相沢)あ~、分かる。
山田)でもセイロ蒸しって言っても、豆乳?マーラータン?油を落とさないでやるやつです。キッチンペーパーいっぱい敷いて、スープも作って。
相沢)あ~、素敵。終わったらいっぱい食べてほしい。
ーーでは最後に改めて公演の見どころを。
新井)空間を楽しん欲しいってお話はしましたけど、個人的に見て欲しいところは、テクニックはもちろんですけど、表現の部分です。目線だったり手の使い方、歩き方だったり、今回自分の中では新たに挑戦してる部分でもあるので。そういうところの変化だったり成長も見ていただきたいです。他の方たち含めて物語を作っている演技も楽しんでいただきたいです。あとはバトルシーン。フェンシングするシーンもあるので、そこも見どころではあります。
山田)幕ごとにジュリエットの感情の起伏があるんですね。一幕はおてんばな女の子の登場から始まり、そこからボールルーム、パーティーシーンで出会って、三幕では家族に認めてもらえない。自分の好きな人と一緒にいられない、許嫁と結婚させられそうになるっていう、天から地への感情の下がり方。でもロミオと出会って、三幕でロミオのことを思い出して、毒を飲もうか、自分のことを刺そうか、って悩んでいる時にも、ああでもロミオが…って思い出すシーンもあるので、感情の起伏を特に三幕では楽しんでいただけたらなと思います。
相沢)観たい!
山田)あとゲストの佐藤崇有貴さんだったり、関口祐美さんのベテランの演技。私のお父さんとお母さん役の方なんですけど、本当に演技が凄くて。お二方が『さあ!』って凄く良いパスを渡してくれて、それに自分も応えようにっていう。お客さんにも凄く刺さると思うので、そこも見どころの一つだなって思います。
新井)ほんと怖いもんね。
山田)お父さんに怒られるシーンがあるんですよ。そこのシーンが本当に。佐藤さんがこっちにやって来ただけで涙が出そうになるんです。
ーー圧倒されちゃうけど喋ってないんですよね。
新井)喋ってないんです。それでもこう、ぐっと来る。
相沢)いや~、芸術ですね。人間って面白い、人間って良いなあ~って感じ。


2026年2月23日 












