アドベンチャーワールドは、エンペラーペンギンの人工授精による有精卵の確認に成功しました。
エンペラーペンギンの繁殖活動
エンペラーペンギンは、世界中でもアメリカ、中国、⽇本の3カ国でのみ飼育されている、希少な種です。
日本国内で現在エンペラーペンギンを飼育しているのは、アドベンチャーワールドと名古屋港水族館の2園館のみです。アドベンチャーワールドの16羽の赤ちゃんはすべて同じ両親から生まれており、血統の偏りが課題となっています。
未来の繁殖のため2009年より、国内の2園館でブリーディングローンを開始しました。2019年の3月には10年ぶりにブリーディングローンとして1羽ずつ血統交換を行いました。さらに、ペアを作って産卵をしても有精卵に繋がらないペアも多く、自然繁殖のみでは、特定の遺伝子に偏るなどの問題があるため、ペンギンの羽数維持、遺伝的多様性を保つためには人工授精の技術も必要となります。
エンペラーペンギンでは2024年から人工授精にチャレンジしており、自然繁殖と人工授精の併用を進めています。
世界初の人工授精で受精卵を確認
世界で初めて、人工授精によって受精卵が確認されました。
アドベンチャーワールドでは、エンペラーペンギンのオスから採取した精子を、2025年7月~8月にかけて4羽のメスに複数回注入し、3羽のメスが産卵しました。うち、8月12日(火)に産卵した卵が、有精卵であることを確認しました。
その後、卵殻に異常が見られ、胚の発生が途中で止まったため孵化には至りませんでしたが、本成果は、飼育下における遺伝的多様性の維持に向けた繁殖研究の大きな一歩です。


2025年12月23日 



